「飽きる」ことは次に進むためのアクセルになる
スタイリングディレクター大草直子初の生き方本『飽きる勇気 好きな2割にフォーカスする生き方』が話題です。
仕事や環境、人間関係などを「変える」ことを恐れない。
自らを無意識に縛っている「枠」や「しがらみ」から自分を解放する。
キャリアは3ステージで考え、人と比べて焦らない。
自分を責める要素を探すのをやめて、1日の終わりには必ず「自分はよくやっている」と自分に言う。
など、混沌とした今だからこそ読みたい軽やかな生き方が、様々な角度から描かれています。
読んだ方からは、タイトルから受ける印象と違って「読んでラクになった」「涙が出た」「繰り返し読みたい」という感想も多数寄せられています。
「飽きるって何?」「ネガティブでわがままなイメージの言葉をどうしてタイトルに選んだの?」と思う方もいるかもしれません。当初はそんな感想も多かったこちらの本を、ウェブマガジンミモレのコミュニティ〔ミモレ編集室〕メンバーに読んでもらい「飽きるって何」ということについて、編集担当者が改めて考えてみました。
「『飽きる』には、放り出すや沢山ありすぎて嫌になるなどの負のイメージがありますが、本の中では、十分に、それ以上に経験や仕事を行い、満足して卒業する、手放すという2つ目の意味の『飽きる』でプラスのイメージなのかなーと感じました」
そうです。大草さんが「飽きて」いるときは大体「満足してこれは人に任せてもいいかな。手放していいかな」と思っているとき。いつも少し先を見ていて、自分と、それ以上に読者やお客様がワクワクする次の展開を考えているときなんだと思います。
「『飽きるとは次に進むためのアクセル』。飽きるという言葉に少し違和感がありましたが、次に進むためのアクセルと言われて、共感出来ました!」
ある程度うまくいっている、あるいは過去にうまくいっていた企画や事業を変更したり、終了したりすることは難しいですよね。仕事に限らず、それは習い事や人付き合いなどでも。
「このまま続けていいのかな」という気配に敏感に、勇気を持って手放して次に進む、大草さんにとっての「飽きる」はそんなことを意味しているのです。
「あらかじめゴールを決めていらっしゃるからこそ、今ここで何をすべきかビジョンがクリアになる。だから、潔く去ることも出来る。ひとつのことにとらわれず、たくさんの肩書きを持つ、そしてそれを潔く手放せる生き方は、40代、50代の多くの女性にとって、ひとつの指針になると感じましたし、今回の「飽きる勇気」で、これからのキャリアの築き方のお手本を見せられた気がしました。大草さんの言う「飽きる」はネガティブなものではなく、日々進化すること、根拠を持って新しい手法への挑戦という意味なんですね」
年齢を重ねるほどに、持っているものを手放すのは難しくなりますよね。でも自分の人生やキャリアの5年先、10年先をいつも具体的に思い描いているから、潔く手放すことができるのだとおもいます。常に少し先の自分を思い描く練習をしておくといいのかもしれません。
「私は2年前に地方から都内に引っ越しました。子どもの進学のこともあり、簡単な決断ではありませんでした。でも18年生活していた地元の生活に飽きていて環境を変えたかったのです。
この決断をすると70才を過ぎた母親を独りにしてしまう(同居はしなかったのですが)後ろめたさを感じていました。そして変わったと言われるのが怖かったのです。
でも、「飽きた」だけで母のことも地元のことも嫌いになったわけではないのです。引っ越してから資格をとったり習い事をしたり、インスタを始めたり40才すぎて世界が広がりました。「飽きた」からこそ得たものがありました。変わることは悪いことではないと自分の生き方をやっと認めることができました。コロナで嫌でも変化しなければならない時代。変わることをおそれずにその先の未来をみたい。そしていつでも「飽きる」勇気を持っていたいと思います」
飽きるというのは嫌いになったわけではない。環境を変えることを恐れずに、未来へと進もうとする自分を容認すること。それがまさに「飽きる勇気」です。
「『飽きる』と言う言葉には、ネガティブなイメージが思ったよりあると思います。でも、大草さんの充実した経験とI(=私)を主語にしたしっかりした考え方について読んでいくと、最後に『飽きる』とは、自分が変わり続けることによる進化、変化を肯定する勇気を持つことが、自分を愛して肯定することにつながる、という前向きな言葉に導かれ、『飽きる』のネガティブイメージが消えていきます。とてもパワフルで行動力がある大草さんですが、他人が決めたフレームを気にしていた時もあると書かれていました。それでもよく考えて前に進んで乗り越えたからこそ、共感を得られる言葉を携え『言葉の人』になったのだろうと思います。
若い人はなかなか先が見えにくく『今』に捉われて苦しむし、先人がどう乗り越えたかという情報は得難いものなので、若い人にもぜひ読んで欲しいと思いました」
大草さんがこの本で一番伝えたがっていたのは、あとがきにもあるように「自分を肯定する勇気」なんですね。そして大草さん自身もそれを最初から持っていたわけではなく、自分を他人が決めた枠にはめて苦しんでいた時期もあったところから、「練習」して手に入れていったのです。
ご指摘の通り、若い人はまだ自分が何者になるかわからない状況で「しがらみ」や「枠」にとらわれ、より苦しさを感じているかもしれません。大草さんと同世代の皆さんだけではなく、若い世代にも、ぜひ手にとって頂けたら嬉しいです。
『飽きる勇気 好きな2割にフォーカスする生き方』
発売日:2020年11月13日
定価:本体1300円(税別)
サイズ:四六判 208ページ
飽きることも、変わることも、
自分を愛することも、全部わがままじゃない。
商品開発やイベント出演のオファーが絶えないスタイリングディレクターで、ウェブマガジンミモレのコンセプトディレクターも務める大草直子氏。時代の転換点を⾒据え、「変化することを恐れない軽やかな⽣き⽅」のコツを指南する初の生き方本をこの度刊行しました。
「今の仕事・生き方でいいのかモヤモヤしている」「いつも人と比べてしまう」「子育てに自信がない」など人生に悩むすべての人がラクに生きられるヒントが満載の一冊です。
構成・文/川良咲子
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