やる気と食べる力を削がない
志麻さん流・子ども対処術


『志麻さん式 定番家族ごはん』では、まだ小さい志麻さんの息子さんが台所でお手伝いしている微笑ましい風景が切り取られています。日々台所に立つ志麻さんが、子どもたちとの向き合い方で心がけていることはあるのでしょうか。

「お手伝いって、こちらの受け入れ体制が整っていないこともあります。ちゃちゃっと早く済ませてしまいたい時は、ちょっと困ったなぁと思ったり。でも子どものやりたいという気持ちはすごく大切だと思うので、きゅうりを1本だけ切ってもらうとか、なるべくやる気を削がないようにしています。そのままきゅうりを出しても、子どもは自分が料理したものだから美味しそうに食べてくれるのも嬉しいポイントです。
ちなみに長男が小さい時は、背負って家政婦の仕事に行っていたのですが、ずっと私が料理するのを見ていたからなのか、0歳の時からおままごとが大好きで。だから、“これはこうやって炒めるといいですよ〜”って料理の工程を教えたり、実際の包丁の持ち方なんかも遊びの中に取り入れるようにしました」

忙しい時には何か1つだけ手伝ってもらう。志麻さんは、「お手伝いをしてもらうことで、子どもは自分が参加した料理を美味しそうに食べてくれます」と教えてくれます。

ちなみに本書では、志麻さんの夫であるフランス人のロマンさんのお母さんが、子どもにいつのまにかチョコレートを与えていたというエピソードも。何を食べさせて、食べさせないか、小さい子どもを持つ親たちにとっては神経を尖らせることだと思いますが、志麻さんはそのチョコレート事件で、「もっと気楽でいいんだ」と吹っ切れたのだとか。

 

「うちではアメやラムネといった砂糖でできたお菓子はほとんど食べてさせていなかったのですが、その一件からチョコレートはOKにしました(笑)。でも、決してフランス人が子どもに甘いなんていうことはなくて、むしろ私の周りにはお菓子をあげることに対して厳しい人が多いような気がします。食べる時間をちゃんと決めて、その時間にだけあげる。大人も子どもも食べることが大好きな人たちなので、食べる時間を最大限に楽しめるようにしているんです。例えば、電車の中で泣き止まない子どもに対してお菓子をあげるとか、そういった光景はあまり見たことがありません。自分の中で、これだったらいいなと思えるものを1個だけ、時間を決めてあげるなどの工夫をすれば、おやつの量も減りますし、家族の食卓では子どももいっぱい食べられて、食事を楽しめるようになるんじゃないかなと思います」