編集N 息もつかせぬ系といえば、『24』とか『プリズン・ブレイク』にハマりまくったから、その面白さは分かります。

山本 ああ、そういうのがまさに私の大好物。そういえばどうでも良いですが、昔、Nさんと一緒に『24』を本当に24時間で見よう、というアホな企画を実行しましたよね。結局私は途中で気を失って、Nさんだけが貫徹したという……。

編集N ありましたね。しかしアメリカドラマのエキサイティング系は、シーズン数が多くて、最後のほうはグダグダになる傾向もありますよね。『LOST』も頑張って全部見たけど、最後は意味が分からなかった。

山本 すごい! 最後まで見たんだ! 私は『LOST』も、同じく人気だったシリーズもの『HEROS』も途中でフェイドアウトしてしまったよ。

編集N 情緒系の海外ドラマなら、私は『名探偵ポワロ』にハマりすぎて、U-NEXTの契約をしようか検討しているところです。シーズン13まであるんですよ。

山本 ポワロはミステリーだけど、イギリスならではの情緒があるよね。うちの母親が大好きで、大量に録画して何度も見ているので、ときどき一緒に見ています。

編集N 推理も面白いですが、ヨーロッパのお金持ちの世界だから、街の建物や衣装も素敵なんですよね。あと、ポワロと相棒のヘイスティングス大尉のコミカルな掛け合いも最高。

山本 ならばネトフリの『シャーロック』も好きかも。現代版シャーロック・ホームズ。普通にスマホとか使ってて新鮮なの。ワトソンはアフガン戦争の軍医から帰還してPTSDに悩まされている、といった設定も今ならでは。

編集N 現代版があるんですね。面白そうだ。

山本 でも全体にどこか陰鬱な空気が漂っているんだよね。ストーリーのテンションもだけど、画面も夜のシーンが多くて色味が暗い。

編集N 画面の色味が暗いと、テレビじゃない環境だと非常に見づらいんですよね。私はiPadで見ることが多いので、『バットマン』とか、面白かったけどほとんど暗闇を見ているようであった……。

山本 闇に紛れて活動するヒーローだからね!!

編集N 今後は製作者もそのあたりを考えるべきですね、って私は一体誰なんだ?(笑)

 


映画ならインドの『きっと、うまくいく』が必見!


山本 エキサイティングものに戻りますが、ネトフリのスペインドラマ『ペーパー・ハウス』も私的にはオススメです。国の造幣局に、完璧な計画を持って強盗に入る話。

編集N そりゃまた壮大ですね。

山本 エキサイティング要素以外ない、みたいなドラマなんだけど、心の揺れからくる仲間割れとかもあって、非常にメリハリある面白さなのです。難なのは、まだシーズン4までしか配信されていなくて、これが3日ぐらい引きずりそうな面白いところで終わっていること。つ、つづきをくれぇ~って悶えたよ。

編集N しかし暗い話が苦手って意外でした。普段、エキサイティングなところとか全くないのに。

山本 他にネトフリで見たのは、スッキリ1話完結ものの刑事ドラマ『メンタリスト』、FBI捜査官と天才犯罪者が手を組んで事件を解決していく『ブラックリスト』、CIAものの『ホームランド』、そしてかの有名なゾンビドラマ『ウォーキング・デッド』と……。こうして挙げると私、分かりやすすぎますね。

編集N ネトフリは韓流ドラマも人気ですよね?

山本 そうね、『愛の不時着』は面白かった。その流れで見た『梨泰院クラス』も良かったけど、韓流は本当に数が多くて見始めると他に手が回らなくなるから。

編集N ヒョンビンはカッコいいから『愛の不時着』は是非見たいです。あ、韓国といえばあれ見なきゃ、アカデミー賞とった映画。

山本 『パラサイト―半地下の家族』ですね。あれはほっこりしたお正月休みにはどうだろう……。それより映画なら、Nさんオススメのアマプラの『きっと、うまくいく』みたいなのが良いのではないでしょうか

編集N あれ、最高に気分が良くなりますよね! インド映画ならではのユーモアと、細かいコンプライアンスをうるさく言わない感じも良い。

山本 でも背景にインドの厳しい競争社会問題があったりして、ちょっと泣けるのですよね。

編集N 全編で171分の大作ですから、休み中向きですよね。でもテンポが良いから長さを感じないし、インド映画特有の出演者が突然踊り出すのも面白いから許せる(笑)。

そういえばネットフリックスといえば『ブレイキング・バッド』が人気ありますけど、見てないんですか? あれ、まさにエキサイティング系で面白そうだなと思ったんですけど。

山本 これがね、2回トライしたんだけど、なぜかハマれなくて。5話ぐらい見て止まっているの。オールドマフィアたちの懐古映画『アイリッシュマン』が好きなうちの姉の旦那さんが、この『ブレイキング・バッド』にもハマっていたから、男心に響くドラマなのかもしれない。

編集N 私も『アイリッシュマン』は、スーパーハマれなかったから、『ブレイキング・バッド』も見なくていいや。しばらくはポワロがあるし。全70話あるのですよ。

山本 な、ななじゅう!? 

編集N そうですよ、ポワロは日本では1990年放映開始、2014年終了です。ウィキより。つまり25年やってたってことですね、すごい。私は小学校高学年の頃から見始めて、今またもう一回見ているのですが、何度見ても、いつ見ても素敵な作品です。

山本 ポワロを見ていた小学生なんて高尚だな。でもせっかく母が撮り貯めていることだし、そんなに良いならこのお正月は私も『ポワロ』を見ようかしら。

編集N じゃあオチはポワロということで!

文/山本奈緒子 構成/藤本容子


前回記事「【年末一気見ドラマ】ルッキズム、女性差別...乗り越えるヒントが満載!『アンという名の少女』」はこちら>>

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映画ライター 細谷 美香
1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。

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文筆家 長谷川 町蔵
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1983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。男性俳優インタビュー集『役者たちの現在地』が発売中。twitter:@fudge_2002

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メディアジャーナリスト 長谷川 朋子
1975年生まれ。国内外のドラマ、バラエティー、ドキュメンタリー番組制作事情を解説する記事多数執筆。カンヌのテレビ見本市に年2回10年ほど足しげく通いつつ、ふだんは猫と娘とひっそり暮らしてます。

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1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。

 
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