気になる俳優やアーティストがいたら、まずはインスタグラムをチェック。撮影中のドラマや映画、活動中の様子が積極的に投じられています。ファンであれば、PR情報でも何でも知りたいものですが、印象に残るのはオフの日常を切り取ったもの。そこにセルフプロデュース力の凄みを感じます。なかでも、年齢を重ねても艶っぽさが増すばかりの石田ゆり子さんと安達祐実さんのインスタ使いは絶妙です。
ベストオブベストを敢えて投稿しないのが石田ゆり子流儀
石田ゆり子さんのインスタ@yuriyuri1003のフォロワー数は250万人に上ります。優しい笑顔で溢れる投稿に癒されること間違いなし。どれもこれも自然体のスタイルを貫くものばかりだからです。オンもオフも並ぶビジュアルに一連性を感じるのは、仕事としての女優・石田ゆり子とファンを繋ぐツールではなく、今を生きている女優・石田ゆり子の一面を知ってもらうツールとして使われているからだと思います。だからでしょうか、嫌味がないのです。ピントがボケようが、ベストじゃない1枚だろうが、その瞬間を切り取ったありのままの見せ方が巧みです。
1回の投稿に常に10万越えの「いいね」が付き、なかでも人気なのは愛犬・雪、愛猫・タビらとの日常ショット。数百件、時に1000超えのコメントが集まります。保護ペットを積極的に迎え入れ、愛情をたっぷり注ぐ姿は犬好き、猫好きであればあるほど、共感してしまうもの。自宅で撮影された愛犬・愛猫シリーズの投稿にもメッセージ性を感じます。
「素敵なおうちにおじゃまして 幸せな時間を過ごす冬のいちにち」。そんなつぶやき調のキャプションも石田ゆり子ワールドでいっぱいです。丁寧な暮らしを切り取った1つの投稿がエンタメニュースに取り上げられることもしばしあり。人気の証拠でもありますが、インスタブランディングがもたらした効果とも言えそうです。思わず真似したくなるのも魅力のひとつにあります。
攻めのビジュアル投稿に拘るのが安達祐実のスタイル
石田ゆり子さんのインスタとはある意味、真逆。作り込んだアート系の投稿で真価を発揮しているのが安達祐実さんです。@_yumi_adachiのフォロワー数は92万人。自己表現を楽しんでいる姿に力強さを感じる、そんな投稿で溢れています。子役の頃から続く女優活動に加えて、つい先日、自身がプロデュースするファッションブランド「虜」を発表したところで、活躍の場は広がるばかり。まだまだ知らない安達祐実の世界を見せつけています。
日常の切り取り方も一球入魂。ファッション雑誌のような計算しつくされた1枚が投稿されています。演技派女優らしく映し出されるその表情もさまざま。訴えかけるような眼差しや、時に色っぽさも、お茶目さも出しています。写真家である桑島智輝さんを夫に持ち、結婚7年目報告の投稿も独特な表現で幸せのかたちを詰め込んでいました。また顔出しせずとも、母親と娘が今そこにいることの空気感が表れる投稿も抜け目がないのです。「中2女子と駅で待ち合わせ」。その一言のキャプションと電車内で撮影したかと思われる動画は、母親としての表情たっぷり。一方、実家で撮影されたものは自身がまるで中2女子に戻ったかのような1枚です。
総じて、安達祐実という一人の女性を見せる場所としてインスタが使われているのではないかと思うのです。誰でもいろいろな顔を持ち合わせているもの。それを魅力として、見せるテクニックを極めると、他にはない独自の統一感が生まれてきそうです。それを体現しているのが安達祐実インスタと言えます。
ファンとしても楽しめるのはもちろんのこと、ミモレ世代のインスタ使いのテンプレになりそうな2人の女優。あなたはどっち派ですか?
前回記事「『アンという名の少女』脚本家チームは全員女性!アンの台詞が現代女性を揺さぶるワケ」はこちら>>
文筆家 長谷川 町蔵
1968年生まれ。東京都町田市出身。アメリカの映画や音楽の紹介、小説執筆まで色々やっているライター。著書に『サ・ン・ト・ランド サウンドトラックで観る映画』(洋泉社)、『聴くシネマ×観るロック』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、共著に『ヤング・アダルトU.S.A.』(DU BOOKS)、『文化系のためのヒップホップ入門1&2』(アルテスパブリッシング)など。
ライター 横川 良明
1983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。男性俳優インタビュー集『役者たちの現在地』が発売中。twitter:@fudge_2002
メディアジャーナリスト 長谷川 朋子
1975年生まれ。国内外のドラマ、バラエティー、ドキュメンタリー番組制作事情を解説する記事多数執筆。カンヌのテレビ見本市に年2回10年ほど足しげく通いつつ、ふだんは猫と娘とひっそり暮らしてます。
ライター 須永 貴子
2019年の年女。群馬で生まれ育ち、大学進学を機に上京。いくつかの職を転々とした後にライターとなり、俳優、アイドル、芸人、スタッフなどへのインタビューや作品レビューなどを執筆して早20年。近年はホラーやミステリー、サスペンスを偏愛する傾向にあり。
ライター 西澤 千央
1976年生まれ。文春オンライン、Quick Japan、日刊サイゾーなどで執筆。ベイスターズとビールとねこがすき。
ライター・編集者 小泉なつみ
1983年生まれ、東京都出身。TV番組制作会社、映画系出版社を経てフリーランス。好きな言葉は「タイムセール」「生(ビール)」。18年に大腸がん発見&共存中。
ライター 木俣 冬
テレビドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書に、講談社現代新書『みんなの朝ドラ』をはじめ、『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』ほか。企画、構成した本に、蜷川幸雄『身体的物語論』など。『隣の家族は青く見える』『コンフィデンスマンJP』『連続テレビ小説 なつぞら上』などドラマや映画のノベライズも多数手がける。エキレビ!で毎日朝ドラレビューを休まず連載中。
ライター 渥美 志保
TVドラマ脚本家を経てライターへ。女性誌、男性誌、週刊誌、カルチャー誌など一般誌、企業広報誌などで、映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がける。yahoo! オーサー、コスモポリタン日本版、withオンラインなど、ネット媒体の連載多数。食べること読むこと観ること、歴史と社会学、いろんなところで頑張る女性たちとイケメンの筋肉が好き。寄稿中の連載は、
「yahoo!ニュース」『アツミシホのイケメンシネマ』
「COSMOPOLITAN」日本版『女子の悶々』
「COSMOPOLITAN」日本版『悪姫が世界を手に入れる』
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ライター 山本奈緒子
1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。
映画ライター 細谷 美香
1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。