その女性の話は極めて明晰で、専門的で、冷静で、こちらはもっと聞いていたいと思うような勉強になる内容で、特に長すぎるということも全くありませんでした。むしろ順序だててロジカルに話しているから最後まで結論を聞かないと聞き手として気持ちが悪いくらいなのに、必ずというほどその男性の発言で中断されます。

 

つらいのは、そのカットインしている男性が、まったく男尊女卑ではなく、むしろ女性に囲まれて仕事をしている人で、それを強みにすらしている人だった点です。カットインする内容も、特に女性にネガティブな内容ではない。だったら尚更どうして女性の話をさえぎらないといけないのかと感じました。

だから、それに対し、「そういうのをまさにマンスプレイニングって言うんですよ」と言おうかと思いました。その場の空気は凍るかもしれないけど。

 

でも「女はこうだ」と属性で決めつけられることにうんざりしてきた自分が、男性に同じことをしてしまわないか。ジェンダーに理解があると自負している人にそれを突き付けるのは、一番言われたくないことで恥をかかせるのではないか。比較的理解がある人にそういうことを言って彼らの口を封じてどうするのか。そういうことが頭をかけめぐり、また私はそのお二方の関係性もよく知らないただの聞き手の一人だったので、結局静かにその場を離れました。

でも、それでも何かの形で届いたらいいと思うので、書くことにします。やっぱり人の話をさえぎるのは、聞いていて不快です。時にカットインしないと発言ができない、終わらないタイプの議論もあるかもしれないし、間違ってしまったなどでその場で口を挟んだほうが相手の人にとってもありがたいという場面がないとは言いませんが、まずは発言者の話を聞いてほしい。

もうすぐ、国際女性デー。ジェンダー問題は男性にも分かってもらわないと、という議論が毎年あがり議論になりますが、男性たちには、いかに自分がジェンダー問題に理解があるかを示したければ、カットインしてまで説明することや理論や数値を振りかざして議論で打ち負かすことによってではなく、女性の話や生の声に耳を傾けるという態度で示してほしいと思います。

前回記事「「私は女であることで損をしたことはない」と思っている女性たちへ」はこちら>>

 
  • 1
  • 2