中村:今はローン残高1%が税金として戻ってくる可能性があり、一方で住宅ローンの金利は0.4~0.6%くらいですよね。いわば、一時的にはお金を借りている方が得、という状況ですので、今後見直しが入る可能性があるんです。

 

片岡:そうなんですか!

中村:はい。でも、住宅ローン減税は、過去をさかのぼると、ずっと1%ではなかったんです。0.5%という時代もあったので、もしかしたら今後それくらいに下がる可能性もあるでしょう。それなら、減税で戻ってくるお金が半分になってしまいますよね。

西山:高い物件を買って、大きな住宅ローンを組む予定の方は、その影響を大きく受けそうですね。もちろん、住宅ローン減税のために無理をして焦って物件を買うのは順番が違いますし、ライフプランもあわせてじっくり考える必要がありますが、「今後、住宅ローン減税の制度に変化があるかもしれない」と頭に入れておきたいですね。

中村:そうやってライフプランなどを考えたうえで、今年か来年買おうと思っている人で、所得が1000万円以下の方なら、40平米台の広さのマンションで、住宅ローン減税ができるくらいの築年数(築20年以内。耐火建築物は築25年以内)の中古マンションは狙い目かもしれません。

西山:新築物件も魅力的ですが、どうしても割高になりがちですし、中古物件なら自分好みにリフォームしたり、ご近所さんの様子が事前によくわかったりというメリットもありますね。

<住宅ローン減税のポイント>
□物件の床面積が50平米メートル以上(所得額1000万円以下の人は40平米以上)
□中古物件の場合は、築20年以内(耐火建築物は築25年以内)
□住宅ローンの返済期間が10年以上ある
□所得金額が3000万円以下

中村:先ほどライフプランもあわせて考える必要性の話が出ましたが、よく私たちFP(ファイナンシャルプランナー)は言うのが「ローンを借りられるか」ではなくて、「ローンを返せるか」がということ。

マンションのモデルルームに行って、なんとなく気分がよくなって買ってしまった、ということには要注意です。

西山:職場のみんなも自宅を買っているし、我が家もそろそろ……などと、周りの影響で決めるのも危険ですよね。同じくらいの年収でも、夫婦共働きなのか、お子さんがいらっしゃるか、いる場合は進学予定が私立なのか公立なのか……といった具合に、家計事情もライフプランもまったく異なりますし。

片岡:確かに! たった数人しかいない編集部でさえ、家族構成もそれぞれ違います。住宅を買うとしても、それぞれの家庭にあった時期があるんですね。

中村:そうですね。住宅ローン減税も確かにメリットのある制度ではありますが、住宅とは本当に長いお付き合いになりますので、「今お得かどうか」だけで判断することなく、ご家庭のライフプランを長い目で考えたうえで、じっくり検討いただくことをおすすめしたいです。

取材・文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)

第1回「住宅ローンの見直し「やってはいけない5つのこと」」>>

第2回「住宅ローンの繰り上げ返済、後で損する3つのパターン」>>

第3回「住宅ローン借り換えタイミング「見きわめるための3つのポイント」>>


前回記事「在宅生活の運動不足解消「一番コスパがいい方法」とは?」はこちら>>

 
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