皆さん、こんにちは。梅津奏です。

人間の感情を四つに分類したのが、「喜怒哀楽」。
この四つの感情の並び順というのは、一体どういう順番なのだろうとたまに考えます。

自分が重きを置いている順番に並び替えるとしたら、「楽怒喜哀」かな。楽しいことをして生きていきたいし、怒りはモチベーションになる。喜びは悪くないんだけれど、なんだか瞬間的な感情のようだからそこまで重視しない。

 

哀しみ・悲しみは、一番退けておきたい感情です。悲しみにとらわれてしまうと、何も手につかなくなり、何も考えられなくなるからです。なるべく見ないようにして、自分が問題なく稼働するようにしておきたい。

でも、本当にそれでいいのでしょうか。今日は、「悲しむ」こととの向き合い方を考えさせられる本をご紹介します。


「悲しみの秘儀」若松英輔

 

若松英輔さんは、評論家・随筆家であり詩人。本書は若松さんが、宮沢賢治やリルケ、池田晶子などの言葉を引きながら、悲しみの意味について綴った一冊です。


同じ悲しみなど存在しない。そういうところに立ってみなければ、悲しみの実相にはふれ得まい。同じものがないから二つの悲しみは響き合い、共振するのではないか。独り悲しむとき人は、時空を超えて広く、深く、他者とつながる。そうした悲しみの秘儀とでもいうべき出来事を賢治は、生き、詩に刻んだ。


この本は、職場の大先輩に教えてもらいました。Kindle版を最初に購入し、読み終わってすぐに文庫本を購入。文庫本の表紙には、沖潤子さんの刺繍作品が使われています。ちなみに、単行本の表紙は日傘作家のひがしちかさんの装画。こちらも美しいです。誰かへのプレゼントにもいいかも。

若松英輔さんは、NHK『100分de名著』の三月の講師。今月のテーマは「災害を考える」ですが、3/8(月)に放送された「柳田国男“先祖の話”」がとてもよかったので、まだ観ていない方はぜひ。NHKプラスではまだ視聴できます。

 


「OPTION B」シェリル・サンドバーグ

 

シェリル・サンドバーグは1969年生まれ。マッキンゼーやGoogle勤務を経て、2008年にFacebookのCOOに着任。2013年に出版した初の著書「LEAN IN」が世界的ベストセラーに。

女性が積極的にリーダー的立場に「LEAN IN(=身を乗り出す)」することによって、より平等な世界が形成されていくのだという強いメッセージ性のある本でした。

本書「OPTION B」は、「LEAN IN」の続編ではありません。
冒頭はシェリルさんの夫が旅先で急死するショッキングなシーンから始まります。


毎朝目を覚まし、うわの空で支度をしながら、彼がいないのになぜ世界がまわり続けるのか、不思議で仕方なかった。なぜ何事もなかったかのように過ごしているの?みんな知らないの?


本書のテーマは「レジリエンス」。悲嘆のあまり仕事も家庭もろくに手がつかなくなる彼女が、少しずつ力を回復し、人生のOPTION B(次善の策)を見出そうとする姿がとても率直に赤裸々に描かれていきます。


レジリエンスとは、逆境が襲いかかってきたときにどれだけ力強く、すばやく立ち直れるかを決める力であり、自分で鍛えることができる。

完璧な人生なんてあり得ない。だからみんな、なんらかのかたちの「オプションB」を選ばざるを得ない。この本は、誰もがオプションBをとことん使い倒せるようにするための本である。


今後、壁に直面するたびに開くであろう一冊です。


「アカネちゃんの涙の海」松谷みよ子

 

松谷みよ子さんによる名作、「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズ。
子どもの頃に読んだ思い出を呼び戻そうとすると、それは「モモちゃんと「あかちゃんのうち」に通った」「くまさんのクリームシチューを食べた」と記憶されていて、自分でも笑ってしまいます。

本書はシリーズの五冊目。ママと離婚したパパが、病気で亡くなるという大きな出来事が起こります。本のタイトルは「アカネちゃんの涙の海」ですが、ここで泣いているのはお姉ちゃんのモモちゃん。


「そうさ、モモちゃんはおねえちゃんだから、パパのこともなにもいわないで、がまんしてきたのさ。だから、たまっていた涙が、あふれだしているのさ」
「そうか、じゃあ、ぼくはいかなくてもいいよね」
「ああ、そっとしておいておやり。それがいちばんさ」


子供の頃シリーズを読み進めていて、パパについて回る「死神」にずっと心が乱されていました。死神が出てくるシーンでは目をつぶったり、ページを飛ばしたり。今改めて読むと、悲しいときに涙をこらえる必要なんてないのかな、海ができてしまうほど泣いたっていいのかな…、そんな気持ちが湧いてきて、戸惑います。

 

「自分は悲しむに値しない」

そう自制してしまうのはなぜでしょう。
「怒るに値しない」とは思わないのに。不思議。

 

あの日から十年。