今までのままでいい? グレイヘアに似合うファション
さて、ここまで教えてもらったグレイヘアのお手入れ方法を実践すれば、首から上は完璧! と思いきや、伊熊さんが考える“素敵なグレイヘア”は、グレイヘアのみにあらず。「最大の難関はファッションを含めた全体の雰囲気づくりです」と伊熊さんは教えてくれます。
「グレイヘアになると、染めていたときと同じ感覚で服を選んでいると十中八九、年齢以上に老けて見えます。一方、クリアなグレイヘアなら、赤や黄色、パステルトーンなど明るい色の服が似合うようになります。全身黒でパキッとさせてもモード感があって素敵です。
真っ赤な口紅と縁が際立つメガネなどを取り入れれば、アーティスティックな雰囲気にもなります。要は“ちょっとしたインパクト”と“上質な素材感”が必要なのです」
グレイヘアに憧れる筆者。伊熊さんの言葉を心の中で反すうしながらクローゼットを開けてみると、そこには着やすい、動きやすいという理由で選んだくすんだ色の服ばかり。この服たちが嫌いなわけではないけれど、理想のグレイヘアとは程遠い現実が目の前にありました。
「装うことが大好きで投資を惜しまない人なら、グレイヘアは大人っぽく、個性的な雰囲気で素敵です。でも、常にヘアもメイクも服もある程度は“きめ尽くし”でいないと、清潔感がなくなり、ほっこりおばあちゃんに見えかねません。ご近所服でカジュアルなライフスタイルがメインなら、グレイヘアにしたときのファッションをシミュレーションして、毎日のくらしにそれがフィットするか、少し考えてみましょう」
つまり、グレイヘアを楽しむということは、トータルファッションを楽しむということ。毎日増える白髪に一喜一憂せず、どんな風に自分をアップデートしていくかを考えるのが“素敵なグレイヘア”なのかもしれませんね。残念ながら「今の生活にはフィットしないかも?」と思った筆者ですが、いつかの自分のために少しずつ“素敵なグレイヘア”ワードローブを揃えていくのも、これからの楽しみのひとつになりそうです。
著者プロフィール
伊熊奈美(いくま・なみ)さん:美容ジャーナリスト。日本毛髪科学協会 毛髪診断士・認定講師、国際毛髪皮膚科学研究所 毛髪技能士。1972年、静岡県浜松市生まれ。地元タウン誌の編集記者、女性誌編集部の美容担当などを経て、フリーランスに。以来20年以上、「女性のリアルな生活に活かせること」をモットーに、スキンケアやアイメイクなど、見た目作りから医療分野まで幅広く企画・取材。特に毛髪科学分野とヘアケアに精通。美容関連企業のコンサルティング、講演も行う。
【Instagram】@namiikuma_hairista
【大人の女性の美髪情報サイト】http://hairista.jp
『いい白髪ケア、やばい白髪ケア:頭皮がしみる、かゆいは危険信号!』
著者:伊熊奈美 小学館 1400円(税別)
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イラスト/伊藤美樹
構成/金澤英恵
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