子どもたちの「好き」を伸ばすことが未来を創る
しかし、就職のために激しい受験戦争が繰り広げられていた時代から、日本は超高齢化社会へ突入。本書が伝えるところによると、日本の総人口は2019年で1億2616万7000人(10月時点)と9年連続でマイナスとなり、2040年には1億1000万人程度に減少。その内訳を見ると、3人にひとり以上が65歳以上の老人で、働ける人(生産年齢人口)の数も減少が加速。2040年の日本は、慢性的な働き手不足になるといいます。
「少子化が進んだ今、若い人の人口が減り、売り手市場になった。学歴が持つパワーは、就職戦線でかつてほどはなくなってきている。これからはなおさらだろう。
2040年には、18歳の人口は今と比べて8割にまで縮む。そもそも、企業側の、学歴に基づいて大量採用して、そこから優秀なヤツが育てばいいという旧来型の採用モデルは現在でも破綻しつつある。学歴があればどうにかなる社会は、完全に過去のものになる」
子どもたちが“就職のための学歴”の呪縛から解放される近未来の日本。喜ばしいことと思いながらも、“学歴”というわかりやすい物差しをひとつの羅針盤として育ってきた親たちは、いったいどのような道を子どもに示せばいいのでしょうか。著者は次のように語ります。
「就職に学歴が関係なくなるのだから、これからは、親も子どもに、それぞれが好きなことを見つけて、好きな仕事や自分の人生を創造する後押しをしてあげるべきだ。学校や塾も行きたくなければ行かなければよい。代替案としてオンライン教育が整備されるのは間違いないのだから」
2040年を待たずして、子どもたちの教育環境はもちろん、親たちの働く環境も劇的なスピードで変化を遂げているコロナ禍。20年先を見通すための知識、そして体に染みついた固定観念をアップデートするためのヒントが、本書には詰まっています。
著者プロフィール
成毛 眞(なるけ・まこと)さん:1955年北海道生まれ。元日本マイクロソフト代表取締役社長。
1986年マイクロソフト株式会社に入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」設立。現在は、書評サイト「HONZ」代表も務める。『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)、『アフターコロナの生存戦略 不安定な情勢でも自由に遊び存分に稼ぐための新コンセプト』(KADOKAWA)、『バズる書き方 書く力が人もお金も引き寄せる』(SB新書)など著書多数。
『2040年の未来予測』
著者:成毛 眞 日経BP 1870円(税込)
超高齢化社会を迎える日本の年金や医療費、世界中で胎動するテクノロジーの革新がもたらすもの、そして危惧される天災までーー。20年後の未来はどうなっているか、著者がさまざまなデータと知識を紐解いて解説。見えない未来に向かって、今私たちがいかに人生を切り拓いていったらいいのかを知ることができる一冊です。
構成/金澤英恵
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