自分のせいで失敗した時はどんな気持ちになりますか? 「自分は愚かだ」と落ち込むか、「やってしまったものは仕方ない」と開き直るか……。
おそらく私たち日本人は前者の方が多いのではないかと思いますが、スタンフォード大学工学博士で失敗学会副会長を務める飯野謙次さんによると、いくら反省して気をつけてもミスはなくならないとのこと。ですから、いちいち落ち込む必要はないようです。
そんな飯野さんが脳科学関係の著書で知られる宇都出雅巳さんと共同で上梓した『ミスしない大百科 仕事は速くてもミスがなくなる科学的な方法』には、「反省する」「気をつける」といった精神論ではなく、科学的アプローチに基づいたミスの回避方法が紹介されています。本書からそのいくつかをピックアップしつつ、現代人のミスとのつき合い方を考えてみたいと思います。
現代の1日=江戸時代の1年分! 膨大な情報量がミスを誘う
現代を生きる私たちは、一昔前の人々に比べてとんでもない量の情報を受け取り、発信しています。私たちの1日の情報量は江戸時代の人の1年分ともいわれています。
世の中をめぐる情報が指数関数的に増えたのに、私には、人間そのものは、原始時代とさほど変わっていないように思えるのです。回答保留のメールが頭の片隅にあったり、迫りくるイベントの段取りがまだついていない状態だったりすると、それらがストレスになります。大量の情報処理に加えて、出席しなければならない会議、そこにいなければいけないイベントなど、自分のスケジュールだけでも管理が大変なのに、人によっては、他人のスケジュールまでも頭に入れておかなければならないことがあります。
現代を生きる私たちには、記憶でスケジュール管理することさえもはや不可能です。
今回は認知科学・脳科学からの観点と、私の失敗学やスタンフォードでの経験をもとに、ミスをなくす方法を紹介しています。自分の頑張りに頼らず、仕組み・工夫と、上手なツールの使い方で、ミスをなくす方法を紹介していきたいと思います。(飯野謙次さん)
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次ページからは、飯野健次さん、宇都出雅巳さん、それぞれが教えてくれる具体的なアプローチをご紹介します。
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