Green Down ProjectとBRINGを活用するブランドも多数


冬物をしまうこのタイミングで注目したいのが、ダウン製品の回収サービスです。2015年に始動した「Green Down Project」では、ダウン混率50%以上の羽毛製品を回収。新たな製品の材料として利用することで、ダウンを焼却する際に発生する二酸化炭素などを抑えることができます。人間の寿命より長いと言われるダウン(羽毛)ですが、これも限りある貴重な資源。Green Down Projectでは、この想いに賛同したアパレルの店舗で常時回収を行っています。「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」や「アーバンリサーチ」など、全国展開するショップも多いのでぜひチェックして。

他にも、日本環境設計が運営する「BRING」では、“服から服をつくる”をコンセプトに全国の小売店で古着を回収。これまでTシャツ約1500万枚分にあたる3000トンの古着を回収し、ポリエステル繊維を再生ポリエステル原料に変えて新たな服を作ってきました。回収拠点にはワコールなども名を連ね、前ページで紹介した無印良品やザ・ノース・フェイスなどもこちらのサービスを使っています。

商業施設をはじめ、全国各地に置かれているBRINGの回収ボックス。着られるものは寄付やリユースに、着られないものは素材やパーツごとに製品に生まれ変わり、Tシャツやパーカーなどの再生製品を購入することも可能です。
 


CO2排出量を減らすために今自分ができることを


特に割引クーポンの配布などはせず、常時回収を行っているアパレルも数多くあります。ここではその一部をご紹介します。


【ZARA】


2015年に古着回収プログラムをスタートしたZARA 。回収された古着は赤十字をはじめとした非営利団体を通じて寄付されるほか、生地や建設・自動車用の材料としてリサイクルされています。スペイン本国やパリ、ロンドン、ニューヨークでは、EC購入者向けの自宅引き取りサービスも行われているので、日本に上陸する日も近いかも。

回収対象品:衣類、ホームファブリック(ブランド不問、靴は除く)
期間:特になし


【GAP】


“洋服を売る以上のことをしよう(Do more than sell clothes)”という信念のもと、2016年より不要になった衣服を回収するリサイクルプロジェクトを展開しているGAP。集まった衣類は、国際協力支援を行う認定NPO法人BAJとの共同プロジェクトを通じ、ミャンマーとベトナムの貧困に悩む人々のサポートに活かされます。

回収対象品:洋服(ブランド不問、多少の汚れ・シミ・破れもOK)
期間:2021年5月31日まで


【パタゴニア】


90年代からリサイクル素材やオーガニックコットンを用いて製品を作り、今では素材の68%がリサイクル原料というパタゴニアの製品。国内のリサイクルサービスは2005年に始まり、現在はパタゴニア製品をより長く使ってもらうためのプラットフォーム「Worn Wear」において、①消費を減らす(必要ないものは買わない)、②修理(使えるものは直して使う)、③リサイクル、の3つを提唱しています。回収は店頭だけでなく、倉庫やカスタマーサービスに送付することも可能。米国では、中古のパタゴニア製品が特定店舗とオンラインで販売されています。

回収対象品:パタゴニア製品のみ
期間:特になし



長年にわたり、売れ残った衣類の大量廃棄とそれに伴う二酸化炭素の排出が問題視されてきたファッション業界。消費者である私たちが大きな仕組みを変えられなくとも、できることはたくさんあります。まずは不要になった衣類を信頼できる店舗に持参して、誰かの役に立ってみませんか?
 

文/井手朋子

 
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