サンドバックにされる夫やプロポーズできない彼
“パートナーの生理”に悩む男性たち
細川:女性の健康をテーマに仕事している私の元には、「パートナーが月1で別人になってしまう。あれはどうにかならないんでしょうか?」という男性からの悩みも多く寄せられます。イライラのサンドバックになるのがつらいという旦那さんもいれば、一緒に住んだらDVを受けそうで彼女にプロポーズできないという男性もいて。そう話す男性たちは、女性ホルモンの暴走が問題であって、奥さんや彼女には非がないことはわかってる。だから余計に言い出せず苦しい思いをしているんですね。
松村:生理痛やPMSのイライラって、人間関係をこじれさせる原因にもなりかねないですからね。私が専門としている“幸せな人たちを科学的に研究する”ポジティブ心理学では、「幸せな人」にはいくつかの共通点があることがわかっています。その上位が「他者との良いつながり」なんですね。生理痛やPMSのイライラは、そうした「良いつながり」を自分の意思に関係なく一刀両断しかねない。少しオーバーですけど、幸せの邪魔をする存在と言えるかもしれません。
細川:今回行なった調査では、生理痛やPMSがあると答えた方は全体の7〜9割と極めて高いのに、どんな対策をしているかの質問に対しては「とくになにもしない」が1位でした。「生理は我慢するもの」という慣習に囚われている女性が多くを占めているわけです。
・生理痛を感じている……約72%(うち31%は痛み止めを服用)
・PMSがあると感じている……約96%
※2019年 20〜50代女性1000人に行ったアンケート/日経BP総研との共同調査(『生理で知っておくべきこと』より)
今は低容量ピルや子宮内に装着する避妊器具の「ミレーナ」など、生理痛やPMSをラクにするための選択肢も増えました。自分のためにはもちろん、大切な人間関係に響かせないためにも、産婦人科の最新医療法もぜひ頼っていただきたいなって。
松村:生理にかかわるイライラは、人格を“ハイジャック”されているようなものですからね。負の感情の根源は相手でも性格でもなく自分の“女性ホルモン”にある。イライラを誰かにぶつけた代償として特大のブーメランが返ってくる前に、対処できることはたくさんあると思います。
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