劣等感を捨てる秘訣2:判断基準を見直す
この世界は、多くの人が劣等感を抱くようなシステムになっています。子供のころから、成績などで常に人と競わされ、大学にも企業にもランクがあり、常に上位のクラスにいなければ、「他の人に負けてしまう」といった感覚を植え付けられることも多いもの。
よほど勉強ができて、いい大学、いい会社に就職している人以外は、「自分は“その程度の人間”なんだ」と劣等感を抱きやすくなるし、たとえいい会社に就職できたとしても、上には上がいるので、自分よりも能力の高い人が現れると、劣等感に苛まれることもあるでしょう。競争社会であればあるほど、劣等感を抱く人は増えていくものなのです。
ただ、そこにある問題は、単に「競争社会だから」だけではありません。それ以上に「一般的に浸透している判断基準が正しいのだ」と思い込まされていることのほうが、大きな問題だと言ってもいいでしょう。
だから、「偏差値の高い学校に行き、大手企業に就職できれば、立派な大人だ」と短絡的な考えを持っている人も少なくありません。でも、現実的に、大手企業にせっかく就職できたとしても、その環境が自分に合わなくて、苦しんでいる人は意外といます。個人で仕事をしたほうが、実力が発揮できる人だって、なかにはいるでしょう。
そもそも私たちの判断基準は、学校教育、メディアなどから植え付けられているものが多いものです。例えば、みんなが「いい」というものが評価され、そうでないものは「価値が低い」と思われがちです。でも、現実的には、万人受けしない“通好みのもの”のほうが、優れていることもあります。
なかには、「みんなと同じであることがいいこと」だと教わる学校教育によって、「みんながいいと思うものを、自分もいいと思わなくてはいけない(=みんながいいというものを、いいと思っていれば、自分は間違っていないはずだ)」と考えてしまう人もいます。
だから、自分の判断基準に自信がない人ほど、「人気がある」と言われるものに飛びつく傾向があるのでしょう。それもあって、広告宣伝に力を入れ、人々に価値観を植え付けることもあるのです。
日本人に購買意欲を持たせるのは、意外と簡単なところもあるのかもしれません。「これだけ売れています。人気があります」「有名人の〇〇さんも愛用しています」と宣伝すれば、興味を示す人は多いでしょうしね。自分で原材料、成分、素材などを調べて、他の商品とも比べて、“自分にとっていいと思うもの”を買う人は、意外と少ないのかもしれません。
だから、自分自身の人生でさえ、自分に合う、合わないに関係なく、「偏差値の高い学校に入ること」「大手企業に就職すること」「結婚する人生を選ぶこと」などが絶対的にいいことだと勘違いし、そのレールに乗れないと劣等感を抱く、なんてことになってしまうのです。
そもそも「自分に合わないことは、手に入りにくいものだ」ということにも、気づかなくてはいけないし、「合わない」ことは、悪いことではありません。人それぞれに個性も特性もありますしね。
そして、どんなにいいものであっても、自分に合わなければ、手に入れても幸せにはなれません。
もし「世の中の判断基準というのは、“その程度の(必ずしも、正しいわけではない)もの”なのだ」と気づけたのであれば、自分の判断基準を一旦、リセットしてみることが大切です。
例えば、学校の勉強ができなくても、クリエイティブな発想力がある人はいます。歌や絵が上手い人もいます。本来は、甲乙をつけるようなものではないのに、子供のころは、学校の勉強ができることのほうが評価されがちです。
また、太っていることに悩んでいる女性は多いものですが、時代によっても、国によっても、美の感覚は違うもの。しかも「標準体重」というのは、“最も健康的に生活ができると統計的に認定されている理想体重”であるにも関わらず、一般的に、その体重の人に対しては、「ぽっちゃり体形だから、美しくない」と判断する人も多いものです(※体脂肪率にもよりますが)。でも、本来、「健康であること」は、とても大事なことではないでしょうか。それでも、「痩せているのが、魅力」だという価値観が植え付けられていることで、太っていることにコンプレックスを抱いている人は少なからずいるものです。
つまり、「本質的な部分から見た優越」と「一般的にいいと言われているものの基準」というのは、違うこともあるのです。
必ずしも正しいわけでもない一般的な価値観に振り回されて、自分に自信をなくしているのは、もったいないことですよね?
あなたが劣等感を抱いていることは、本来、「自分は劣っている」なんて落ち込む必要がないことであることも多いのです。
ただし、「そんなことを言っても、周りは認めてくれないから」と悩む人は多いでしょう。そういう人は、周りの人をもっと喜ばせることをしてみるといいでしょう。人は、学歴がないだろうが、太っていようが、そんなことよりも、自分に優しくしてくれる人を高く評価するものです。
そうやって人を喜ばせることをしているうちに、周りから必要とされることも増えるし、自己重要感が高まってくるのです。そうしたら、劣等感なんて消えていくでしょう。
また、劣等感のある人ほど、実は、“ある特徴”があります。それがあるから、さらに劣等感を強めてしまうといっても過言ではありません。それについては、次のページで紹介します。
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