前回まで3つご紹介した場所は熊本県北部にあり、福岡に近く新幹線やリムジンバスなども通っているので、1時間もしないうちに福岡市へ行ける立地にあります。なので今回は福岡空港から移動。九州新幹線ができて本当に色々と便利になりました(私が20代の頃は新幹線なんて皆無の時代。笑)

ということで、トランジットで福岡で1泊。

20代の初めの頃、福岡でも「赤坂」の欅通りを歩くとちょっと大人な気分に浸れる憧れの場所でもあり、ここだけは変わらない通りのようでちょっとホッとします。

その大通りを一本入ると、素敵な佇まいのお店「万(よろず)」さんが。外の喧騒が嘘のように、ここはまさに「静寂」という言葉がぴったり。

『万』 福岡市中央区赤坂2-3-32 TEL: 092-724-7880
*事前にご予約がおすすめ。オンラインショップも充実しています!

先日も茶寮をご紹介しましたが、県境にあたる八女(福岡)・岳間(熊本山鹿市)はお茶の産地であり、かつ福岡は千三百年ほど前、海の玄関として貿易で栄えた場所。お茶も大陸から渡ってきたといういにしえの地でもあり、当時よりお茶やお酒で「おもてなし」の文化が発達していた地でもあります。

オーナーで茶司の徳淵卓さんはそんな文化を今に伝える伝道師のおひとり。無駄のない見事な所作には毎度惚れ惚れするのですが、この場所でお茶を待つという時間がなんとも贅沢。

茶司 徳淵卓さん。お茶と向き合うときに真剣な眼差しが印象的。

ここで何かを語るというのは無粋なもの。目で楽しみ、香りで心をしずめ、口で味わう。

五感が無意識に研ぎ澄まされます。

私が頼んだのは季節の日本茶を和菓子のコース。初めはグラスでいただくお茶を福岡名産のイチゴとともに。
 
2投目は蒸した茶の葉の香りをたっぷり楽しんでいただきました。
 
お菓子も充実。一番人気のもなかのスイーツ。パリッと香ばしい香りがたまらない。
 
(上)大好きな棗バターと(下)星のほうじ茶ソフトマメは取り寄せしてしまったほど好物。  
甘いものの後にこれは後引く美味しさ!お茶のお浸し。
 
最後は季節の生菓子と抹茶。外の新緑とシンクロする美しさ。
 

「万」さんはお茶だけでなく、お酒もおすすめ。飲める人もそうでない人も楽しめるのも嬉しい。福岡は素晴らしい食事処も多いので、美味しいものを食した後訪れていただきたい、とっておきの隠れ家です。

 

仕事での九州訪問でしたが、学びと「幸せ」のあり方を学ぶ素敵な時間でした。どんな便利な時代になっても「人」と直に会ってのコミュニケーション、その肌感覚はとても大切。人間ってそういう生き物なのだと思います。

そして自然の治癒力も素晴らしい。私もひたすら自宅で籠ってしまう日々を送っていましたが、呼吸も浅くなり、正直精神的に参ってしまうことも。コロナ対策と周囲への配慮は十分にやっていただきたい思いですが、時にはマスク外して森林浴オススメです。