玉名和水町から少し北東に移動すると、山鹿市鹿北町という秘境と思わせられるほどの小さな山あいの町があります。

まだお店はオープン前という事でしたが、目的地に着くなり、その外観と佇まいに誰もが息を呑みます。元々商家の方のお家だったそうで、贅を尽くしたディテールや縁側から見える美しい庭園は重要文化財級。

 

こんな素敵なお家を茶寮にするとは、なかなかの目利きだと思ってお会いしましたが、思いがけなく若いご夫婦がこちらの家人で驚き!

もちろん建物が古いのでリノベーションやテコ入れは必須。センス抜群なふたりが古き美しきものを活かし塩梅を吟味しながら今の生活スタイルへ変えていく・・・一見楽しそうにやっている姿が羨ましくも思いますが、実はとても骨折りで大変な作業。

 
玄関から客間までのアプローチ。無駄のない整然としたしつらえは日本家屋の美でもあり原点。
 
昔ながらの炊事場。釜戸や囲炉裏が存在する贅沢な空間。今となっては貴重な遺産
茶寮がオープンする前にお邪魔させていただき、客間でお茶をいただく。なんとも静寂で満ち足りた時間。

リノベーションの傍ら、農家としての仕事も怠ることはできません。見た目都会的な美男美女カップルなのですが、昔ながらの農作業スタイルに身を包み、日々畑と向き合っている姿はもちろん本気。

何よりこの秘境の地で商いを行うことは厳しく、積極的にポップアップに参加したり、オンラインやメディアをうまく使いセンスよく発信する姿勢はこの時代にフィットした農家さんの在り方だとも感じました。

茶師でこの茶寮のオーナーでもあるご主人のヒロさんとアクセサリーデザイナーの顔も持つ奥様の純子さん。ヒロさんは以前、アパレルで勤務し、プロボクサーの経歴を持つマルチぶり。ご主人が独自にブレンドしたハーブティーブランドfeliciTEA(フェリシティー)を純子さんがプロデュース&販売。それぞれの強みを活かしたビジネス。夫婦で仲良くモノづくりいいですよね。
本気な茶摘みスタイルの純子さん。なんだか楽しそう〜!
 

でもこのお二人の素敵なところは、そこだけにとどまらず。

高齢化した地域で浮き立っている訳ではなく、ご近所付き合いもお手のもの。お隣の90代のおばあちゃんやご近所の高齢の独身者の方を招いて井戸端会議を行ったり、むしろ率先して皆んなを束ねる人気者。

ご近所のお年寄りとお茶を飲みながら団欒のひととき。

昨今、田舎でもなくなりそうなご近所付き合い。寂しく孤立しがちな高齢者に声掛けし、調和を大切にしながら日々豊かに暮らすお二人がとても頼もしい。

新しい世代が新しい町づくりに取り組んでいる、そんな田舎の未来に期待が膨らみます。お二人から色々と学びを得る貴重な時間でした。

美術茶寮 好信楽祿 住所:山鹿市鹿北町椎持2172
*完全予約制・事前にお店の情報はInstagramFBもしくはHPのメールにてお問い合わせください。