これって明らかに男性観客の目を喜ばせるためのもので、競技を行なう女性アスリートの動きやすさのためではないですよね? きっとノルウェーの選手たちのように違和感を抱いている選手がほかにもたくさんいるはずなのに……。

ネットでみつけた記事では、ビーチハンドボールの規則ではユニフォームに入れるスポンサーの広告ロゴの位置は決められており、女子の場合はバストやヒップの辺りという指定があるとか。スポンサーをつけるための戦略があるとは言え、なぜアスリートたちが性的な視線に晒されることを当然のように受け入れなければならないのか。セクハラや性暴力を告発する#Me Too運動が盛んな現在でも、未だこのようなノルウェーチームの抗議活動がニュースで取り上げられること自体が、スポーツ界だけでなく世界にまだ男女差別が根強く残っていることの表れと言えます。

今回のピンク姉さんのツイートによって女子ビーチハンドボールの服装規定が注目を集め、26日には、欧州ハンドボール連盟は納められた罰金をスポーツ界の平等を支援する団体に寄付したことを発表。ノルウェー女子ハンドボールチームはインスタグラムで「変化が起きていると信じます」とコメントしています。

そんな中、東京五輪では女子体操のドイツチームが、レオタードの代わりに足首まで覆われた「ユニタード」を着用しました。

7月25日、東京五輪・体操女子予選に出場したポーリーヌ・シェーファー選手。写真:丸山康平/アフロ
全身を覆うユニフォーム姿でポーズを決める、体操女子・ドイツ代表チーム。写真:picture alliance/アフロ

こちらの競技では半袖もしくは長袖で、色がレオタードとマッチしていれば脚を覆うことは認められているとか。ドイツ代表のエリザベト・ゲイツ選手は「全ての女性、そして誰もが、何を着るかを自分で決めるべきだと示したかったのです」 とコメント。「私たちは、今日はこれがいちばん快適なレオタードだと決めました」「だけど、普通のレオタードはもう着ないというわけではありません。その日によって、自分たちの感情や希望によって決めて行くつもりです」。

 

ゲイツ選手の声明通り、ルールに対して敬意を示した上で、競技に支障がない範囲ならば性別問わず、自分たちが心地いいと感じられるユニフォームを選ぶ権利を認める。そんな当たり前のことが許される世界に、早く変わっていって欲しいですよね。ようやく声を上げ始めた勇気ある女性アスリートたちを、私もピンク姉さんのように心から応援したいと思います。


前回記事「アダム・ドライバーがバーバリーの広告で披露した、肉体美と色気にクラッ」はこちら>>

 
  • 1
  • 2