日本選手の活躍がめざましい、今回のオリンピック。8月5日18時現在、東京五輪2020で日本が獲得したメダルの数は43個。中でも印象的なのは、若手の女性アスリートの活躍ぶりです。
特に驚いたのは、スケートボード女子パークの決勝戦。すでにストリート男子では堀米雄斗選手(22)が金メダルを、そして女子ストリートでは西矢椛選手(13)が金メダル、中山楓奈選手(16)が銅メダルと、日本の10代の選手たちがメダルを獲得。スケボー競技への注目が集まる中、女子パーク部門でも、金メダルの四十住さくら選手(19歳)、銀メダルの開心那(ここな)選手(12歳)、惜しくも4位となった岡本蒼優(みすぐ)選手(15歳)と、日本代表選手たちが素晴らしい滑りを見せてくれました。そして銅メダル獲得のスカイ・ブラウン選手(13歳)もイギリス代表としての出場ではありますが、お母様は日本人で宮崎育ち。日本勢がスケボーという競技にこんなに強かったとは少々意外な気が。
私はたまたまリアルタイムで競技を視聴していたのですが、このスケートボード女子パークという競技、最高にかっこよかった! ティーンエイジャーの女の子たちが長い髪をなびかせながら、パーク内をのびやかに疾走する。そこには勝敗を競う張り詰めた緊迫感ではなく、ただただ、「スケボーが好き」「スケボーができて楽しい!」という、純粋な喜びとパッションだけが溢れていました。こんなに全員が楽しそうに笑顔で競技しているオリンピック競技は、初めて観たかもしれません。
皆難しい技にトライしては失敗して競技半ばで転んだりするのですが、そこに悲壮感はなく、皆笑顔で戻って行く。「審査員による点数よりも、全力で挑戦できたことの方が大事だもの。私はこの大技に挑戦した自分を誇らしく思うわ」とでもいうような風情で。銀メダル獲得後の中山選手のインタビューでも、「結果というよりも、自分の滑りをちゃんとできたらいいなと思っていました。スケートボードは乗っているだけでも楽しいので、辛いと思ったことは無いです」と答えていました。
この爽やかさは、今回の五輪で初めて公式種目に加わったという歴史の短さと、選手の若さにあるのかしら? つまり、勝つことへのプレッシャーが少ないから?
興奮して前置きが長くなりましたが、何よりも感動したのが、選手たちの国境を超えたシスターフッド。滑り終えた仲間たちに心からの賞賛を贈り合い、ハグし合う。もはやどの選手たちも、ライバルとしてではなく、同じスケボーを愛する仲間として、ともに五輪の舞台に立てたことを寿ぎ合うようなムード。たとえ転んで持ち時間の45秒間を滑りきれずに終了したとしても、チャレンジした技がキマったことを弾けるような笑顔で称え合う彼女たちの様子がキラキラと眩しい……!
そして終盤、世界ランキング1位でメダル候補とされていた岡本選手が最後のトリックに失敗して悔し泣きで戻ってきた際、他の選手たちが彼女に駆け寄って担ぎ上げ、笑顔に変えてしまうという場面が。これについて五輪公式インスタグラムアカウントが「最高のスポーツマンシップ」とコメントしていましたが、本当にその通り。競技を見終わった後、「いいもの見せてくれてありがとう!」と心から思いました。真っ青な空の下で繰り広げられるティーンエイジャーの女子たちの青春。いや〜〜、若さって、本当に素晴らしいですね!
ちなみにスケボーは男子もこんな感じなのかなと思い、男子パークも観戦してみたのですが、男子の方はもう少しクールで個人主義的な雰囲気。おそらく女子の方が選手人口もまだ少ないため、みんなが大会などですでに顔見知りで仲がいいということも要因だとは思いますが。
スケボー女子というコミュニティの中で絆が強まり結束する姿に、女性ならではのシスターフッドを感じてキュンとしたのでした。
ちなみに。先ほども書いたように、スケボーって海外の方が強そうなイメージがあったので今回の日本人選手たちの活躍は意外だったのですが、海外選手は「魅せる滑り」を意識して派手さにこだわるけれど、日本人はひとつひとつのトリックを地道にコツコツ練習するから、オリンピックのような得点競技だと強いそうです。なるほど〜! 若い世代にも日本人の真面目気質はこうして脈々と受け継がれているのですね。若い選手たちが次のパリ五輪でさらに強くなった姿を見るのが楽しみ。次はどんな風に私たちをキュンキュンさせてくれるのでしょうか。
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