給食の献立を作る栄養士の気分で
こんなとき有効なのが献立作戦で、冷蔵庫の中身を見ながら、今ある食材で何日分の食事がつくれるかを紙に書き出していく。すると、1週間くらいはなんとかいけそう、だったらそのあと1週間で1万5千円もあれば余裕じゃないか、と不安は消える。
何よりいいのが、献立をつくると、食事内容が健康的になることだ。ごはんと味噌汁を基本に、メインのメニューと副菜を組み立てるとき、自然にバランスを考えている。そのときどきの安くておいしい旬の野菜も多く取り入れるため、気分は学校給食の献立をつくる管理栄養士さんのよう。
献立表を冷蔵庫に貼っておけば、冷蔵庫がすっからかんになってきたとしても、自分も家族も不安にならない。それどころか、一見からっぽの冷蔵庫から、こんなにバランスのいい食事が!と夕食を前に自画自賛したりして。こんなときは、自分の生活者としての賢さやたくましさがちょっと鍛えられたかもと、うれしくなる。
冷蔵庫といえば、たまにテレビで、一般家庭のギュウギュウの冷蔵庫の奥から謎のタッパーがいくつも出てくる、といった場面が映し出されるたびに、なぜこうした事態が起こるのかと不思議な気持ちになる。いや待てよ、テレビのなかだけではなかった。今は近くの高齢者施設に暮らす義母が、その前に2年ほど1人暮らしをしていたマンションの冷蔵庫が、まさにそれだった。残り物を食べる前に、新しい食事をつくる、それを積み重ねた結果ということになるのだろうが、帰省するたびに冷蔵庫のなかをチェックして、古くなってしまった食べ物を捨てるのは、とても胸が痛んだ。
義母の場合、専業主婦として 50年近くも家族のために食事をつくる人生だったため、義父を亡くした後、1人分の食事をつくるのがどうもうまくできないようだった。かといって友達と頻繁に外食するタイプでもなく、家にいるのがいちばん疲れなくて安心、という性格で、食事のたびに残り物に手が伸びずにいたら、その皿はどんどん奥に追いやられて......などと想像しながらの冷蔵庫そうじは、尚更つらかった思い出がある。
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