料理のワールドカップ、ボキューズ・ドール国際料理コンクールで、「レストラントエダ」戸枝忠孝シェフ善戦!
ベストレストランに続いて、料理のワールドカップ、ボキューズ・ドール国際料理コンクールについてご紹介します。
ボキューズ・ドールとは、1987年に、現代フランス料理の父と称される、ポール・ボキューズが創設した、2年に一度行われる国際的な料理コンクールです。世界76か国の代表シェフがアジア・パシフィック、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカの各大陸大会を経て、フランス本戦を目指します。本戦には、24か国(今年は欠場もあり21か国)が出場し、会場内に設置された12のキッチンを使用し、審査員、観客の目の前で、5時間半の持ち時間で、芸術的な料理を仕上げます。それをロングテーブルにずらりと並んだ、各国のメンターシェフたちが、試食して採点し、合計得点で勝者が決まります。優勝は大変な名誉で、ミシュランの星や、MOFと言われるフランスの最高職人の肩書など、その後の料理界での活躍が保障されるといっても過言ではありません。
今年は、日本からは軽井沢の「レストラントエダ」の戸枝忠孝シェフが参加。22歳で渡仏し、名店で修業したのち、大阪、東京を経て、軽井沢にレストラントエダをオープン。
「なぜか、節目節目の師匠たちが皆、ボキューズ・ドールに参戦していて、自分も目指したいという思いが強くなり、4年前の日本予選から始め、代表の座をつかみました」と言います。コンクールへ向けての4年間は、たいへんな努力を重ねてきたそうです。
テーマはコロナ禍の今の時代をふまえ、意匠を凝らしたボックスに入ったテイクアウトできる料理3品と、宮廷料理の伝統を継ぐ、肉料理の大皿盛。戸枝シェフの料理はどちらも、日本の自然を生かした、華やかながら、静寂を感じる美しい仕上がりでした。
会場内の熱気はまるでサッカーのワールドカップのようで、自国の旗をふり、鳴物を鳴らし、大合唱。その中で、もくもくと、料理を仕上げていく緊張感は、見ているこちらまで、手に汗握ります。今年は、フランスチームの試食審査の直前にマクロン大統領が見学にくるという、サプライズもあり、盛り上がりは最高潮でした。
いよいよ表彰式です。各国の応援は勢いを増し、選手たちは、国旗を持って、オリンピックのように入場です。そして特別賞4枠のあとに、最終発表。3位がノルウェー、2位がデンマーク、そして1位はフランス。どのシェフも、金銀銅のボキューズ・ドール像を高々と差し上げ、喜びを身体いっぱいで表現。紙吹雪と声援がなりやまぬまま、コンクールは幕をおろしました。
戸枝シェフは全体の9位でした。コンクール後にお話を伺うと、「今は、やりきったというすがすがしさでいっぱいです。順位には悔しさはありますが、この4年間で自分が成長できたことが、本当にわかりましたし、これからの料理人人生には必ずプラスになると思います。そして、この学びを、次の若い世代にしっかり伝えていきたいです」と力強い言葉を残してくれました。今後のレストラントエダが楽しみです。
構成/藤本容子
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