個性をより豊かに表現する。それがお洒落心
この前、篠原ともえちゃんに会ったんですけど、彼女、ずっと私のファンだそうです。通じるところがあるのでしょうか? 私も彼女のファンです。可愛いでしょ。髪に洋服に、何もとらわれず、オリジナルセンスで自らを彩る。若い人々にああいう感覚の人が出てきたことは、じつに喜ばしい。
そういえば、昔、メイ・ウェストというセクシー女優がいたんです。「シノラー」を見てると、彼女を思い出しますね。メイは“ダイヤの女”と呼ばれるくらい、いつも山ほど宝石をつけてました。それでも、彼女があんなにも小気味よく映ったのは、自分が悪趣味だと悪口を言われるだろうということをわかって、わざとそれを楽しんでいたからです。
メイのように確信犯のお洒落を楽しんだ女優に、グレタ・ガルボがいます。彼女の場合、あまりにも完璧に整った顔だから、わざと趣味の悪い服を着て、プラスマイナス・ゼロにし、バランスをとっていたんです。
美意識が影をひそめてしまった現代社会
マレーネ・ディートリッヒはガルボとは逆。けっして美人とはいえません。私の友人であった三島由紀夫さんが“西洋版のおかめ”と呼んでいたくらいですから(笑)。でもだからこそ、身につけるものは洗練された都会的なものばかり。そうやってあの独特の雰囲気を演出していたんですね。
今は、そういうお洒落心――美意識というものがすっかり影をひそめてしまった。それは日本だけではない、全世界にもいえることです。
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