ただ、流されるままに生きた方が、ラクなのは事実。他人の指示で動いたことなら、自分に言い訳することができる。「あいつのせいだー!」「私は、言われた通りに行動しただけ!」と。でも、ふと立ち止まった時に虚しくなるんですよね。いつの間にか、自分がなにをしたいのか分からなくなってしまう。
「今さら、人生変わんないっしょ。もう、30だしね」
雛子の言葉が、胸に突き刺さります。たしかに、そうだ。歳を重ねると、先が見えてしまう。そういえば、「将来の夢は?」と聞かれなくなったのは、いつからだろう。学生時代は、先が見えない不安を抱えていたけれど、今はそんな不安さえも輝いて見える。「あの頃は、よかったなぁ」なんて言う大人には、なりたくない! と思っていたのに、気付けば自分がそんな大人に……。
そんなモヤモヤを、雛子がズバッと言葉にしてくれます。「これじゃダメだって分かっているのに、そう思ってもどう行動すればいいのか分からない!」––––––。分かる、分かるよ雛子! 思わず共感の声をかけたくなりますが、生意気な部下・大牙(志尊淳)が喝を入れるんです。「そんな奴の下で働かされる、こっちの身にもなってみろよ!」と正論を突きつけてくる。たしかに、甘えてばかりはいられないな……とこちらまで喝を入れてもらったような気持ちに。
ちなみに、大牙役の志尊淳さんは、『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』(TBS系)や、『きみはペット』(フジテレビ系)などで愛くるしい演技を見せてきました。しかし、本作では可愛さを封印! 雛子の独り言に対して、「まじキモいっすね」と罵ったり……。ちょっぴり意地悪な役柄を好演しています。志尊さんのギャップを感じさせる演技も、本作の注目ポイントです。
今のところは、ゴリゴリのお仕事ドラマに見える『ムチャブリ』。ただ、ドラマ公式サイトには、<カリスマ社長とナマイキ部下との間で揺れ動く“恋の予感”も…。>と書かれていました。これは、浅海社長と大牙の“恋する表情”を観られる可能性も……?
観終えたあと、スカッとする『ムチャブリ』は、だらけてしまいがちな水曜日に、喝を入れてくれる存在になりそうです。
前回記事「清原果耶主演『ファイトソング』が単なる三角関係ラブコメに終わらなそうな理由【2022年1月ドラマ】」はこちら>>
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