毎週火曜日の夜を彩ってくれるドラマが始まりました。清原果耶が、民放初主演を務める『ファイトソング』(TBS系)は、これまでの“火10”と一線を画すラブコメになる予感がします。
最近の同枠は、とにかく“キュン”を題材にした作品が多いですよね。『婚姻届に判を捺しただけですが』の“ふいキュン”、『着飾る恋には理由があって』の“うちキュン”、『私の家政夫ナギサさん』の“おじキュン”など……枚挙にキリがありません。
社会現象を起こした『逃げるは恥だが役に立つ』のように、社会への問題提起を含めた作品もありますが、シリアスなシーンが少ないのが、同枠の特徴でした。バリバリ働くキャリアウーマンをヒロインに据えた作品が多いからでしょうか。エネルギッシュなストーリーを通して、勇気を与えてくれるのが、最近の“火10”のイメージです。
しかし、『ファイトソング』はちがう。序盤から、ヒロイン・花枝(清原果耶)が事故に遭い、半ば自暴自棄になってしまうんです。空手の日本代表を目指していた彼女は、突然夢を絶たれ、何事にもやる気が出ない。同じ児童養護施設で育った後輩からは、「ダメですね。この人終わってる」と言われる始末。
ただ、誰しもそんな時期はありますよね。頑張りたくても、頑張れない時期が。一歩踏み出したい気持ちはあっても、進むことに恐怖を感じてしまったり。だからこそ、燻っている花枝を見ていると、どこか共感してしまう。これまでの“火10”が、「もっと頑張れよ」と背中を押す作品だとしたら、『ファイトソング』は、「私も同じだよ」と背中をさすってくれる物語になっていくのではないでしょうか。
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