女優・米倉涼子さんが新聞業界の“異端児”と呼ばれる役に挑戦したNetflixシリーズ『新聞記者』が1月13日から全世界独占配信されました。同名タイトルのヒット映画『新聞記者』を連続ドラマ化したものです。闘うヒロインの印象が色濃い米倉さんですが、本作はこれまでの役柄のイメージとは全く違うと言っていいほど、静かな力強さを見せてくれています。「米さん」と親しみを込めながら、米倉さんの演技について藤井道人監督が語ってくれました。

 “米倉涼子を感じさせない演技”で生まれた新しい中年のヒロイン。『新聞記者』監督が語る撮影秘話_img0
 


米倉涼子さんの役作りの構想とは全く違った新たなヒロイン像


「私、失敗しないので」。米倉涼子さんがNetflixシリーズ『新聞記者』で演じた声なき声を届ける新聞記者、松田杏奈役もそんな絶対に諦めない信念を持った強いキャラクターを想像する人は多いはず。米倉さん自身もそう思って、撮影現場に臨んだことを明かしています。記者会見シーンでは官房長官に責め立てるような役作り。でも、その構想は覆されてしまったようです。藤井道人監督に「もっと声を小さくしてください……」と、演技指導されたからです。地味にコツコツ、人に寄り添いながら闘う中年女性のヒロインという新たな姿が作られました。

 “米倉涼子を感じさせない演技”で生まれた新しい中年のヒロイン。『新聞記者』監督が語る撮影秘話_img1
Netflixオリジナルシリーズ『新聞記者』。2022年1月13日より全世界同時独占配信。

そんな米倉さんの演技を見るだけでも一見の価値ある作品ですが、ストーリーそのものも骨太で、演技派の魅力的な役者が揃っています。そもそも映画版は第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞を含む主要3部門を獲得した実力派作品。藤井監督はこの映画版でもメガホンをとっています。Netflixドラマ版も政治スキャンダルに発展した公文書改ざん事件の真相を追う話を軸にしていますが、3つの視点で物語を描いていることが映画版との違いです。

 “米倉涼子を感じさせない演技”で生まれた新しい中年のヒロイン。『新聞記者』監督が語る撮影秘話_img2
 

3つの視点とは、報道、政権、市井の人たちのこと。報道側は米倉さん演じる新聞記者の松田杏奈役から、政権側は綾野剛さんが白熱の演技で魅せる若手官僚・村上真一役から、そして、市井の人たちの目線は横浜流星さんの好演が光る就活生の木下亮役から伝えられます。それぞれの正義がせめぎ合いながら、答えも決めつけない。政治事件を軸に日本という国で生きる現代の人々の姿をつぶさに伝えている作品です。

 
 
  • 1
  • 2