飲食の経験者から「絶対にうまくいくわけない」と反対されて…… 


私の義理の弟がイタリアンのカフェを経営していたので、りんご飴のカフェについてのアイディアを話してみました。

すると彼からは「りんご飴なんて簡単にできるけど、そんなカフェ絶対にうまくいくわけないよ」と猛反対されてしまいました。ただでさえ3人の子どもを養うだけで大変な私が、下手にカフェなんてやり借金でも背負うことになったら大変だと心配したんでしょう。

それでもやりたいと言いつづけたら、義弟が「うちのカフェの定休日に店を使っていいから、週1回だけ限定でやってみたら? そう簡単に売れないことがわかると思うよ」と提案してくれて。

そして、りんご飴の作り方を学ぶところから始まり、取締役の友人ともう一人の主要メンバーと一緒に、どう仕掛けるかなどの戦略を詰めていきました。

こうして渋谷のカフェを間借りして、週1回、日曜限定のりんご飴カフェがスタートしたんですが……。なんと、初日にいきなり行列ができていたんです。

「週に1回だけ、日曜限定でりんご飴を販売する」というプレスリリースを出したのが取り上げられて、話題になったのが要因でした。さらに翌週には『news every.』が取材にきました。「週に1回、日曜限定」というのがウケたのかもしれません。

テレビがきっかけでさらに行列ができるようになり、「これはいけるかも」ということで、物件を探していよいよ店舗を構えることにしました。それが現在本店となっている代官山のお店です。週1のカフェを始めてから半年後。今からちょうど2年前のことでした。

お店を始める前は、細かいことは全部若いスタッフに任せて、私はお金まわりのことだけに徹しようと思っていたんですが……。実際始めたら、それまで以上に忙しくなって、大変なことになってしまいました(笑)。

3人の子どもを絶対に学校に通わせたい一心で...。50代の女性が「行列のできるりんご飴」を作るまで_img1
 

百貨店の催事に出店を始めたのもその頃です。週1のカフェをやっていた頃来ていたお客さんに、東急百貨店の催事担当者がいて、「うちで出店してみませんか?」と声をかけてくれました。

 

本来、東急フードショーの催事ってかなり敷居が高くて、有名店しか出られないんです。でもその担当の方は、「面白そうだからやりたい」と言ってくれました。

会場の片隅の1畳くらいの小さいスペースでしたが、そこにものすごい行列ができて、かなりの売り上げを出しました。それがきっかけで、他のいろんな百貨店からも声をかけられるようになり、頻繁に催事に出るようになりました。

さらには、たまたま催事に来ていたお客さんがテレビ局の方で、催事でうちのりんご飴を知って、後日電話をくれたんです。「ドラマに出しませんか?」という電話でした。

そのドラマが、佐藤健さんと上白石萌音さんの『恋はつづくよどこまでも』。ドラマにりんご飴が登場した次の週は、再びものすごい行列ができました。放送後、1ヶ月くらいは2時間待ちでしたね。

そこから原宿店がオープンし、催事がきっかけで、吉祥寺マルイの常設店舗もできたりして……。あっという間に、1年間で8店舗にまで増えていました。自分でもそこまで広がるとは思っていなかったので、さすがに驚きました。