パリと東京が拠点のファッションブランド「メゾンキツネ(Maison Kitsuné)」が運営するコーヒーショップ「カフェキツネ(Café Kitsuné)」。そのパリにあるショップで、“看板マダム”として愛されている石井庸子さん、通称ナミさん。82歳になった今も、週に3日は店に立ち、接客しています。いつまでも元気に働き続けられる秘訣、ファッションやライフスタイルのこだわりなどをお伺いしました。
 

 


自分が嫌いな人には会わない。それがストレスを溜めず健康でいる秘訣

80代で週に3回カフェ勤務。健やかでいる秘訣は「嫌いな人には会わない」こと【パリ在住日本人マダム】_img0
石井庸子(いしいようこ)さん●1973年に渡仏し、友人からの誘いでパリにある日本人向けのバーで働き始め、21年続ける。一人娘が「メゾン キツネ」の創始者ジルダ・ロアエック氏と結婚したことが縁で、5年前から「カフェキツネ」で働き始める。愛称の“ナミ”は、旧姓が由来。


――80歳を超えた今も元気に楽しく働き続けているナミさん。そのパワーの源はどこにあるんでしょうか?

「よく聞かれるのですが、ストレスを溜めないってことに尽きるかしら。そのためにも何事も我慢しないことが大事。だから自分の嫌いな人には会わないの(笑)。たとえば友人からのお誘いだったとしても、参加するメンバーを聞いて私とは合わない人がいたら『パスするわ』と断っちゃう。わがままって言われたらそうなのかもしれないけれど、パリの人は気にしないのよ。大雑把。そういう意味では私もそう。だから、パリは住みやすくて。気がついたら50年が過ぎていました。

わがままで大雑把なのは、年を取ったからじゃなくて昔から。だから、きちんとしている日本は何かと面倒だったのかもしれないですね(笑)。もちろんたまに帰るとトイレが綺麗でいいなあとか、いろいろ好きなところはあるけれど、トータルではやっぱりパリが私には合っていますね。

あとは健康でいるために食事と睡眠はしっかりとるようにしています。このふたつは本当に大事よね。特に食事。健康でいるために欠かせない要素として、食事が80%、睡眠が20%だと思っています」

―――ナミさんの1日のルーティンを教えて下さい

「だいたい起きるのは朝8時くらい。しっかり寝るからわりと遅めですね。起きてすぐにハチミツとレモンをお湯で割って飲んで、そのあとに朝食。『キャレ・パン・ド・ミ(Carré Pain de mie )』の日本の食パンのようなふわふわのパンが好きでよく食べています。あとは半熟卵とバター。卵サンドなんかの簡単なランチを持って、バスでお店に向かいます。家からお店までは1本だから、通勤もとってもラクなのよ。

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「カフェ キツネ」パレロワイヤル店にて。ナミさん以外のスタッフは10代、20代が中心。

「13時からだいたい4~5時間勤務して帰宅。みんなはきびきび働いているけれど、私はときどき休みながら(笑)。階段を使わせないでって言われているみたいで、みんな気遣ってくれて、とっても優しいのよ。

仕事を終えたら帰宅して、夜ご飯はしっかり作って食べます。今も揚げ物が大好き。胃もたれ知らずなの。冷凍してあるエビでフライとかもちゃちゃっと作っちゃう。食い意地が張ってるの(笑)。お蕎麦だけにしておこうと思っても、なんだか寂しくて揚げ物を作っちゃうくらい。

胃もたれもないけれど、肩凝りもしないし、確かに体は丈夫なほうなのかもしれないですね。食事は健康でいるうえで大切だとは思うけれど、細かく気を遣っているわけではなくて、これに関してもストレスを溜めないことが重要なのかしら。好きなものを好きな人たちと食べるのが一番なのかもしれないですね」