神奈川県相模原市で生まれ育ち、数年前から湘南・佐島エリアに住まいを構えていたフリーランスのライター、小高朋子さん。海に面した静かな街は住み心地も良く、とても満足していましたが、ある時ふと思い立ち、沖縄への移住を決めます。きっかけは、コロナによって現場に出向く取材が減ってしまったことでした。現場に行けないのであれば、いっそのこといつかは住んでみたいと思っていた沖縄へ行ってみよう。そう思って2021年2月に移住します。
思い立って3ヶ月後には沖縄移住
「以前の住まいは逗子駅から車で20分ほどの海辺のマンションでした。逗子と横須賀の間の少し辺鄙な場所でしたが、ひとり暮らしでも寂しさを感じることもなく、むしろ落ち着く場所だったんです。車さえあれば買い物にもすぐに行けるし、何ひとつ不便はありませんでした。でもコロナになってリモートで取材をすることが増えて、“必ずしもここにいる必要はないんじゃないか”という気持ちが芽生えたんですよね。そういえば、昔沖縄に住みたいってずっと思っていたけれど、実行する機会がなかったなと思い返して、沖縄での暮らしを考えるようになりました。
それまで関東を出たことは一度もありませんでしたが、特に躊躇することはなかったですね。周りの友人たちは家庭がある人も多く頻繁に会えるわけでもないですし、どこに住んでも同じかなと。石垣や宮古などの離島も好きでしたが、父親が病気を抱えていたこともあって、何かあった時にすぐ駆けつけられる沖縄本島に決めました。初めての移住なので、とりあえず本島に住んでみて、離島は次のステップとして残しておいてもいいかなとも」
小高さんと沖縄の出会いは今から数十年前に遡ります。当時勤めていたアパレルの仕事を辞めたあと、なかなかできなかった旅行を思う存分してみようと、全国47都道府県を巡る旅に出ます。そこで一番最初に魅了されたのが沖縄でした。
「北陸や東北はとにかく食べ物が美味しくてそれはそれで惹かれましたが、沖縄は土地が持つ独特の色彩や風景に魅せられて。あまりに気に入ったので、それから2、3年は3ヶ月に一度沖縄に通う生活をしていました。いつか住んでみたいという気持ちは漠然とあって、でも当時は憧れの場所という存在だったんですね。それがコロナになったことで再び沖縄に興味が向き、思い立ってから3ヶ月後には移住していました」
街に住むという選択肢はなかった
小高さんが移住先に選んだのは、美ら海水族館から車で15分ほどの場所にある北部の島、瀬底島です。当時お世話になっていたオンライン英会話の先生が北部に滞在しており、「このエリアすごくいいよ!」と言われたことがきっかけでした。
「せっかく沖縄に住むなら那覇などの街に住むという選択肢は一切なかったので、先生に勧められた北部にすぐ向かいました。そこでまず視察という形で1週間ほど滞在してみたんです。そうしたら本当にいい場所で……! 現地では飲食店のオーナーなどを紹介してもらって夜な夜な繰り出していたら、地域の人とも交流を持つことができました。那覇と違って何もないなと思いましたが、住むのに最低限必要なスーパーや、少し行くと電気屋や本屋がある名護の街にも行けるので不便はないなと。程良い田舎の雰囲気が気に入って、滞在中にここに住もうって決めました」
沖縄の家には湯船が少ない!?
コロナ禍で物件の内見は予約が必要だったため、滞在中の内見は諦めた小高さん。事前にネットで調べていた目ぼしい物件の周辺を回って雰囲気を把握して、結局その後は一度も沖縄を訪れることなく引っ越し先を決めました。沖縄というと、物件探しが大変そうなイメージもありますが、そのあたりの苦労はなかったのでしょうか。
「そこまで苦労したことはありませんでした。でも1つだけ、沖縄って湯船がある家が少ないんですよ。シャワーだけで済ます人が多いようで、ホームセンターには簡易的な浴槽桶が売っているほど。比較的新しい家には湯船があるので、そこはマストで探しました。それから、できる限り海に近い家がいいと思っていましたが、現地の人に海の目の前は台風の時に悲惨な目に遭うから絶対にやめた方がいいと言われて、そこはさすがに従いましたね(笑)。沖縄は海抜の低い場所に家があることも多いので、ハザードマップは一応チェックしました」
- 1
- 2
Comment