40代を迎えても「新しいチャレンジ」がしたい。対話の中で見えてきた価値観


CC中村:この10年間で、本当にいろいろな工夫をしながら、仕事をされてきたんですね。先ほど「新しい環境を求めて転職した」というお話もありましたが、転職したきっかけについてもお伺いできますか?

麻衣:きっかけは2つあります。1つ目が、管理職になって経営会議や人事会議に参加するようになり、経営層の考えに違和感を覚えるようになったことです。社内のさまざまな課題が見えてきて、それらの解決を試みたものの、経営層が新しいチャレンジを拒むんです。それで、この会社に居続けても、頭打ちになるなと感じてしまいました。

2つ目は、コロナ禍で働き方を見直したことです。前職は旧態依然としていたので、リモートワークもあまりできなくて。新しい働き方にもチャレンジしたいと思ったことで、転職先を探すようになりました。

 

CC中村:なるほど。麻衣さんにとっては「新しいチャレンジ」という言葉がキーワードなのかもしれませんね。ここまでのお話で、すでに何度も出てきています。

麻衣:……たしかに! そうかもしれません。

CC中村:働き方も仕事内容も、新しいチャレンジができるのが、今の会社だった。実際に1年間働いてみて、いかがですか?

麻衣:そうですね。前職の反省から、あえて規模の大きい会社を選んで入社したのですが、システマティックな組織体制や厳格なルールがあるのはとても勉強になる反面、長くベンチャー企業で仕組みを自分で作りながら働いてきた私には、少し「息苦しさ」を感じることもあります。

CC中村:今の会社に息苦しさを感じることもあるのですね。

麻衣:はい。結局私はいろいろなことに縛られるのが苦手なのかもしれないです。もともと会社にブランド力があることで幸せを感じる人間ではなくて、仕事内容を重視してきました。私はただ、相手の役に立つ仕事をしたいんです。いくら相手のためになることでも、数字を追って、自社にとってメリットがなければ、その仕事はしないという判断になることが理解できない。

「全部自分でやる」は正解なの?


CC中村:今の会社で「相手の役に立つ仕事」をするためには、どのような力が必要だと思いますか?

麻衣:データで根拠を示しながら、論理的に説明する力が必要だなと思います。今の会社は規模が大きい分、社員間の共通言語は「売上数字」なんですよ。取引先のために何か施策を行いたいと思ったら、自社の売上数字にどう影響するかをきちんと示しながら、自社にも取引先にもWin-Winであることを説明できるようにならないと。

CC中村:先ほど「数字を追うのは苦手」というお話もありましたが、数字を根拠として論理的に説明する力は身につけられそうですか?

麻衣:いえ、やはり苦手意識が強いので、実はここ最近は優秀な部下や業務委託の方に根拠資料の作成をお任せしています。私がつくると膨大な時間がかかる上に、上手くできないことも多いのですが、得意な部下に作ってもらうと、完成度の高いすばらしい資料になるんです。

CC中村:いいですね。実際に依頼してみて、どうですか?

麻衣:仕事はすべて自分でやろうとせず、人に任せる判断をするというのは、今の会社で学べたことかもしれないです。うん、全部自分でできなくちゃと思っていましたが、これでいいんですね。