最近、相次いでニュースになるのが「人気アナウンサーの転職」です。

これまでは、テレビ局退職後はフリーアナウンサーになる路線が定番。しかし最近は、アナウンス業とはまったく毛色の違う職種にうつる例が目につきます。

理系の研究職に就く元日本テレビの桝太一さん、三井不動産でまちづくり事業に関わる元NHKの近江友里恵さん……。

優秀なエリートだった彼らが、なぜ外の世界に飛び出すことを決断したのか? そこには、大きく変わりゆく社会で、新しい価値観のもとで自分らしく働こうとする「ニュータイプ」の思考が見えてきます。

 


ニュータイプのキャリアは、「役に立つ」から「意味がある」へ


彼らの思考をひもとくことは、私たちが新しいキャリアを考える上でもきっと役に立つはずです。

このなぞ解きに、たくさんのヒントを与えてくれる本を紹介します。

『ニュータイプの時代』(山口周/ダイヤモンド社)

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の著者、独立研究家・著作家の山口周さんによる「VUCA(※)時代を生き抜くニュータイプ」解説の書。

(※)Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったビジネス用語。

VUCAとはつまり、言葉や数字であらわしたり予測が難しかったりするということ。山口さんは、どんなファジーなことがらも事例やデータを活用しながらわかりやすく書き起こす「VUCA時代の論客」です。

本書の中で山口さんは、これまでの社会で重宝されてきた課題解決能力を武器とする人をオールドタイプと定義します。

テクノロジーの進化により、社会の課題や不便はより簡単に解決できるようになりました。

「遠く離れている人とコミュニケーションしたい」課題には、電話やメール・各種SNSが、「事務ミスを減らすためにダブルチェック・トリプルチェックする」不便には、ITツールのあれこれが。「より多くの情報を手に入れたい」課題には、テレビや新聞などのマスメディアに加えてインターネットが。

このように、解決策が飽和し、課題が枯渇しているのが現代社会です。そこで必要とされる人材が、課題発見能力を持つニュータイプ。そして、オールドタイプからニュータイプに転身するために大切なのが、「役に立つ」を重視する思考から、「意味がある」を探す思考にシフトすることです。


モノが飽和し、モノの価値が中長期的な低落傾向にある時代だからこそ、これからは「役に立つモノ」を生み出せる組織や個人ではなく、「意味」や「ストーリー」を生み出すことができるニュータイプに、高い報酬が支払われる時代がやってきているとうことです。
一一『ニュータイプの時代』より

 
  • 1
  • 2