その昔、ほんの少しだけ在籍していたファッション班で、「春トレンド5着で着回し30デイズ」的な当時の人気企画の担当をやっておりました。春の流行服、まずはこれをみんな買うでしょ! というメイン服を選定して、その5着だけで1ヵ月の間デートも、仕事も、女子会も、先輩も、後輩も攻略しようというコンテンツ、ミモレ世代にはお馴染みかと思います。賢明なみなさんならもうお分かりでしょうが、5着だけでは、もちろん30日間着まわせません。それを可能にしていたのはなんだったのかというと、それは「手持ち服」。フリルニットや花柄ブラウスといった主役級アイテムを着回すには、全てを受け止める黒パンツや白シャツの存在が欠かせません。しかも、そういうものこそ、トレンドに合わせてアップデートが必要。それはスタイリストさんのコーディネートチェックの現場で学ばせていただいたことでございます。さて、今年も主役級の春コスメ百花繚乱の季節がやってきました。……もうお分かりですね? 今回のテーマは、顔の「手持ち服」は更新できているのかどうか、について。2週にわたり、前・後編でお送りしたいと思います。

 


春のパステルアイシャドウ、40代は「くすみ」で締める。


昨年からのカラフルな目元の流行がもう少し続きそうな今年の春。コスメの進化は侮れないもので、透け感や質感で、一昔前のような腫れぼったい印象にはならないよう工夫がされたものばかり。世の中全体のメイク技術も、YouTubeやSNSのおかげで底上げされていますから、「抜け感」のあるこなれたパステルメイクが主流になってきました。しかしながら、いくら「とにかく抜け感」「ノーライン、ノーマスカラでよろしい」と言われましても、ふわっと発色するからこそ、何かで締めないと落ち着かない気持ちにさせられるのは、わたしだけではないはず。かといって、真っ黒なアイラインや焦げ茶で締めるのは10年前の顔になりそう。そこで、おすすめしたいのが、グレーでくすませて締めるという方法です。
 

大人の顔の万能基本色は、たぶん黒じゃなくてグレー。

好きすぎて、気がつくとコスメポーチに集まっていたグレーのリキッドアイライナー。なに色のアイシャドウが相方になっても受け止めてくれる、本当に便利な色だと個人的には推しております。左に行けば行くほど白みの、右に行けば行くほど黒みのグレーの3本。スックは水色のような気分でも使える白っぽいアイスグレー、キャンメイクはスックより少し透け感があります。UZUはオフィシャルでは薄い黒という扱いですが、濡れ感が出るのでその分明るく感じる気がします。
(左)ニュアンス アイライナー 03 ¥3300/スック (中)ラスティングリキッドライナー 07(限定色)¥990/キャンメイク (右)アイオープニングライナー 7 SHADES OF BLACK PLATINUM-BLACK ¥1650/ウズ バイ フローフシ

黒って無難な色というイメージがあるかもしれませんが、顔の中だと結構おしゃれ上級者の色だと思います。ファッションでもそうだと思うのですが、コスメだとモード感がファッション以上に出せてしまう色。では、ブラウンなら無難?と考えてみると、それも違うような気が。ブラウンのリップやブラウンのチークは、完全におしゃれ民の御用達ですから、どどんと主役を張れる色。今のトレンドの中では、個人的には真の無難色はグレーだと思うんです。照れちゃうようなパステルカラーだって、くすませつつ締めてくれます。

コーラルピンクアイシャドウ×スックを太めに。明るいくすみ色で締めると、ピンクやベージュもぼんやりしない。ふわっと締めてくれるけど、古くならない。
 
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