久しぶりに岩松了さん作・演出作品「青空は後悔の証し」を観てきました。
まずタイトルにやられました。何が出てくるのか、どんな物語なのか、心がざわつきませんか?(笑)

千秋楽はチケット完売のようですが、当日券と大阪公演も予定していますので、そちらも是非!


岩松了さんの作品は毎度余韻に引きずられ消化不良を数日間保ちながら、ひどい時には一年くらい後に「あ、あのシーンって・・・」と蘇ることも。


以前拝見した「空ばかり見ていた」はとても難解な作品で、終演後、「意味がわからない」と若い女の子が呟いていたのを覚えています。確かに内戦下にあり敵味方に分断した日本という設定の中、繰り広げられる若者の恋愛観や同一民族での敵対&捕虜、戦地に向かう兵士に保険を勧める外交員とか、なんともシニカルでカオスな世界が繰り広げられ、奇妙としか言えないようなシチュエーション。だけど、このコロナ禍で『分断』という現実を目の当たりにした時、意味のわからないことでもない怖さを今となって感じています。


人は極限に立たされた時、それぞれの感情のコントロールや行動が脆くも顕に出てしまう生き物。そういう人間の弱さや、滑稽さを絶妙なタッチで描かれてるところが岩松さんの作品の魅力の一つです。


今回の「青空は後悔の証し」は年老いた父「ロウ」、息子の「ミキオ」とその妻「ソノコ」の家族を中心に、彼らを取り巻く日常と、ロウの過去やそこから絡まり始める複雑な人間模様を描いた作品。

そしてロウの夢の世界が、パラレルな幻想的空間を生み出し、重なり合うセリフと挙動不審にも感じるリアクションは彼らの関係性の危うさとすれ違いを物語っているかのようで、その不協和音にも似た感覚はオーディエンスまでもを巻き込んでいきます。
舞台の中央には大きな窓。窓の外には建設中の塔がこちらの中を覗くように配置。
「男たちは窓の外を語り、女たちは窓の中にいる男たちをみている」
パンフレットの冒頭に書かれた言葉ですが、どこかトリッキーにも聞こえるセリフが頭の中で何度もリフレインし、その「消化不良感」を解消すべく、終演後は必ず誰かと語り合いたくなる思いに駆られるのは、この作品に限らずのこと。毎度ちょっとした中毒性を感じています(笑)。


わかりやすい商業作品も良いのですが、私はやっぱり「残像感が頭からな離れない、噛み砕きに時間を要する」作品が個人的に好物。
今回も岩松語録を体にいっぱい浴びれた幸せな時間でした。

岩松語録をたっぷり体感できる一冊。
嗚呼……嗚呼……嗚呼! 幕が下りても席を立てない。 誰かと語りたくて居酒屋に駆け込む。 眠る前にまた思い出し、気が付くと朝。すれ違う人と言葉……嗚呼! いつだって岩松了の芝居に狂うほどの幸せを感じてきたのだ。 ―― 坂元裕二(オビ文より)