「女性が自身の体について決めること」に社会が抑圧をかけている

「自分は困っていない、騒ぎ過ぎ」と思ってない? 見せかけのジェンダー平等に思うこと_img0
イラスト:shutterstock

医療へのアクセスでも、女性が自身の体について自己決定できるようにする選択肢は不十分です。望まない妊娠を避けるために緊急避妊薬を処方箋なしで薬局で買えるようにする制度はなかなか実現せず、人工妊娠中絶では掻爬法術など女性の身体に負担の大きい方法が行われており、ピルやIUDなどで避妊をすることへの偏見も根強くあります。10代の男女にワクチンを接種することで子宮頸がんで亡くなる女性を大幅に減らすことができる(オーストラリアではワクチン接種により2028年には子宮頸がんを撲滅できる見通し)にも関わらず、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの普及も進みません。女性が自らの生殖器や性について意識的になることや自己決定することに対する様々な負の烙印から、不調を感じても婦人科を受診するのを躊躇する人も多いのです。こと生殖に関する医療では、女性は社会からの抑圧を受けていると見ることができるでしょう。

 


上智大学の三浦まり教授は「この(世界経済フォーラムの)報告書はどちらかというと経済成長を重視している。女性の人権や尊厳が守られているかという観点があれば、もっと異なるデータを取るのではないか」と指摘しています。

数字の上での格差をなくすことはもちろん大事ですが、根本的な女性の人権への真摯な眼差しなくして、本当に女性が安心して暮らせる社会は実現しません。上辺だけの女性活躍推進や見せかけのジェンダー平等の旗ふりに騙されず、「それは本当に女性を人間として尊重しているのか」「平等を謳いながら女性を利用しようとしていないか」という視点で国や企業の取り組みを見ることが、今一層重要になっていると思います。
 

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