オンラインコミュニケーションのメリット


オンラインのコミュニケーションのほうは、アンケート結果でも、メリットを感じている人は多かったです。

たとえば、
・遠方にいる人ともリアルタイムで顔を見ながら会話ができるようになった。
・オンラインは楽だし、時短になる。

など。

オンラインでコミュニケーションがとれるようになり、確かに楽になったことは多いです。今までは対面で行っていた打ち合わせがオンラインでできることで、移動時間がなくなったり、普段なかなか会えない人とも、オンラインで会話が楽しめるようになったりしました。

ただし、これは決して「対面よりも上質なコミュニケーションがとれるようになった」という意味でのメリットではありません。
遠方にいる人と「会話ができない状態」よりは「オンラインで話せる」ほうがいい、ということに過ぎず、本来は、実際に会って話したほうがいいはずです。

事務的な打ち合わせの場合は、オンラインでもいいかもしれませんが、相手と心を通わせて話したいときは、物足りないこともあるでしょう。

 


オンラインコミュニケーションのデメリット


アンケート結果では、デメリットにこのような回答がありました。

・オンライン会議だと相手の言っていることが分かりづらいし、コミュニケーションが取りづらい。
・在宅でのリモートワークになったら、オフィスでチームメンバーとの雑談がなくなり、息抜きをする機会が減った。
・直接会って、相手の表情を見て、空気を感じて接するほうが、心が通い合うものだと感じている。
・オンラインでヨガをやるようになったら、教室で体験していたときよりも先生や生徒さんとつながりが持ちにくくなった。
・会話の余白がなくなった。

など。

「目的を果たせたら、それだけでいい」というわけではないんですよね。たとえば、「オンラインのヨガ講座」だと、ヨガ自体は体験できるけど、実際にその場にいたら、体験後、先生や生徒さんと交流して、新たな楽しみや発見ができた可能性はあります。

仕事でも、雑談の中にアイデアが隠れていることがよくあります。オンラインは予定調和に物事が進みやすい分、目的を果たす以外の収穫が少ないところはあるかもしれません。
対面だったら、例えばふとお互いの服や持ち物を褒め合ったりするところから、面白いアイデアが生まれることもあるでしょうしね。

私自身、オンラインでのコミュニケーションをすることで、「人は “目に見えないもの”を感じながら会話をしていること」に気づきました。
相手の雰囲気、佇まい、思いというのは、見えるものではありませんが、実際に会うことで自然と感じています。意外とそれこそが、相手と意思疎通を図るには重要なものではないか、と感じるのです。
でも、オンライン(=デジタル)は、そういった“目に見えないもの”は伝えないし、「ないもの」にしてしまうのです。

中でも、一度も会ったことがない相手の場合は、その人の人物像を自分の想像で作り上げているところがあります。でも、雰囲気や佇まいこそが、“その人の人柄”を物語っています。
だから、オンラインでしか会ったことがなかった相手と初めて対面すると、「あぁ、こういう人なんだ!」と分かることが多いのでしょう。

個人的には、マスクの着用やオンラインでのコミュニケーションをするようになったことで、「実際に相手と会って、表情を見せ合って、雰囲気や空気を感じながらコミュニケーションをとること」の重要性を一段と感じています。
私たちは、思いのほか大事なことを失ってしまっているのです。

きちんと人と心を通わせたいと思うときは、手間や時間がかかっても、実際に会ってコミュニケーションをとるように心がけたほうがいいし、どんなに便利になっても「対面に勝るものはない」のかもしれませんね。

 

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