お仕事帰りに同僚と。大切な家族や友人と。
心からおつかれさまと伝えたい日のレストランを厳選してご紹介します。
スペイン料理にも郷土料理の時代到来
イタリアンはいまや郷土料理が当たり前。その波がスペイン料理へ。ガリシア料理専門店など、地方色豊かな皿を出す店が相次いで誕生。
◆レアな料理に出合える高架下のバル boqueria 神田
スペインバルは数あれど、神田駅高架下に誕生したここは、ちょっと違う。なにせ、佐々木一寿さんと立川友成さん、スペインを愛して止まない料理人ふたりの店。中でも佐々木さんは、旨い料理を求めてスペインの隅々まで。各地で出会ったレアな料理をメニューに潜ませる。
ファバーダは、豚の血入りの腸詰めや塩漬け豚を入れて、丸い白インゲン豆とクツクツ煮込んだ、北部アストゥリアス地方の料理。ニンニクをつぶしてアリオリソースを作り、魚介と合わせたガスパチュエロは、マラガ名物のスープ。できる限り現地のまま再現しているという皿は、素朴だけれど、濃厚な旨みが胃に染みわたるよう。
◆日本初!? ガリシア地方料理店、現る! a espiritrompa 三鷹台
「どの地方とも違う。緑が広がり、食材がとても豊か」北西部の州ガリシアに魅了され、現地の一つ星店で2年半働いた太田修一郎さんが構えた専門店だ。
扉を開けると、薪窯がドンと。なんと手造り。「これがなくては始まらない」と、パン屋にも通って覚えた全粒粉入りの大きな田舎パンを焼く。皮は香ばしく、気泡が粗い生地はもっちり。料理を前にしただけで、そのこだわりがわかる。チョリソーの余り肉をジャガイモと合わせた郷土食ソルサ、とろんとやわらかく火を入れたタコをパプリカ特有の甘味が包む名物プルポ……。レストラン仕様ながら、どれも素材の旨みが際立つ皿で、田舎パンがしみじみ合う。
FRaU 2014年掲載『おつかれレストラン』より ©講談社
Comment