お仕事帰りに同僚と。大切な家族や友人と。
心からおつかれさまと伝えたい日のレストランを厳選してご紹介します。
愛がたっぷりのイタリア郷土料理で和む。
北部エミリア・ロマーニャと南の島シチリア。名産も料理もまったく違う、2つの郷土料理店がある。でも、変わらないのは、シェフの深い郷土愛⁉
◆パリにいたシェフが作る"美食の町"の名物。 IL BOLLITO(神楽坂)
パルマの生ハムに、パルミジャーノに……なんて書き連ねずとも、エミリア・ロマーニャ州が"美食の町"と呼ばれるゆえんは、郷土料理がずらりと並ぶ、この店に来ればよくわかる。ボローニャの名物パスタ、トルテッリをはじめ、チーズや肉類をふんだんに使った料理は、料理人のかの地への思いがじんわり胃に染み入るかのように、こっくりと旨い。が、聞いて驚いた。実は、浅野拓也シェフは、パリで修業していた仏料理人。知人と訪れたエミリア・ロマーニャで、「何を選んでも、当然のように合う料理とワインに感動して」、パスタを打つ日々に転身した。セラーには造り手を訪れて選んだナチュラルワインがずらり!
◆シチリア帰りのシェフの食堂で絶品ナス料理。 シチリア屋 (白山)
シチリア料理のひとつ、ナスの揚げ煮カポナータのナス※ときたら、とろっとろで口の中で溶けるようだ。旨さが違う。そう水を向けると、店主の大下竜一さん、「このおかげなんです」と、カポナータのためだけにある素朴な調理器具を、愛おしそうに差し出した。
シチリアの料理が、人が、文化が大好きで、現地のレストランで修業を積んだ大下さんが構えた店には、かの地への愛がそこかしこに。料理は、現地で印象深かった味を盛り合わせたセットを出す。必要以上に手を加えず、柑橘類やハーブを活かしていて、とにかく軽やか。魚介が豊富で、野生のフェンネルが入ったイワシのパスタも、きっと日本人好み。
※季節限定のメニューとなっております。
FRaU 2014年掲載『おつかれレストラン』より ©講談社
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