新世代の日本映画が特集上映された今年の釜山映画祭、中でも大きな関心を集めたのが、すでに韓国での配給も決まっている『ケイコ 目を澄ませて』です。「ろう」の女性ボクサーの世界と心のゆれを描いたその作品を生み出したのは、監督の三宅唱さんと主演の岸井ゆきのさん。特にボクシングに親しみがあったわけではないおふたりは、撮影の3ヵ月前から一緒にジムに通い、その中で作品は作り上げられていったといいます。映画の視線が独特なのは、一見全く交わりそうにない手話の世界、そして映画そのものに、共通する在り方を見出していること。それはいったいどんなものでしょうか。釜山映画祭での上映を終えたばかりのおふたりにお話を聞きました。全2回でお届けします。

 

インタビュー前編
「【岸井ゆきの×監督・三宅唱】「手加減しないで」「伝えてくれてありがとう」ボクシング初心者コンビが「ろう」の女性ボクサーを描いた道のり【釜山映画祭レポ】 」>>

 

岸井ゆきの
1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。2009年女優デビュー。以降映画、ドラマ、舞台と様々な作品に出演。2017年映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』(森ガキ侑大監督)で映画初主演を務め、第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。2019年『愛がなんだ』(今泉力哉監督)では、第11回TAMA映画祭最優秀新進女優賞ならびに第43回日本アカデミー賞新人賞を獲得。そのほか近年の主な出演作には、映画『神は見返りを求める』(22/吉田恵輔監督)、ドラマ「パンドラの果実」(22/NTV)、「恋せぬふたり」(NHK)などがある。

三宅唱
1984年北海道生まれ。一橋大学社会学部卒業、映画美学校フィクションコース初等科修了。主な監督作品に、『THE COCKPIT』(14)、『きみの鳥はうたえる』(18) 、『ワイルドツアー』(19)などがある。『Playback』(12)では、ロカルノ国際映面祭のコンペティション部門に正式出品され、第22回日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞を受賞。『呪怨:呪いの家(全6話)』(20)がNetflixのJホラー第1弾として世界190ヵ国以上で同時配信され、話題となった。その他、星野源のMV「折り合い」なども手掛けている。