紬は、どちらと結ばれた方が幸せなのか問題


「この3年、本当は楽しくなかったと思う。行きたいとこ、食べたいもの、欲しいもの、俺、全部なんでもいいよ、紬の好きでいいよって言うから、つまんなかったと思う。紬が教えてくれた音楽とか映画とか、いいねって感想しか言えなくて……」

湊斗の苦しみは、紬と“分かり合えない”ところにもあったのかもしれません。高校時代、紬がオススメした映画『ハチミツとクローバー』を、全然面白いと思えなかった湊斗。紬も、(おそらく)湊斗がセレクトした洋画を観ながら、寝落ちをしてしまったり。

筆者は、紬は想とだったら、どんなに面白くなくても頑張って起きていたんじゃないかな? と思ってしまいました。知らない音楽を聴かされても、「はいはい。いいよね。これ、すごくいい! 知ってる!」と話を合わせたのと同じように。好きだから、合わせる。安心しているから、自由にできる。それって、どっちの方が幸せなんだろう。

 

ただ、紬がどちらを選んだとしても、湊斗と出会って、“普通”の人生を取り戻せたことは変わらない。ブラック企業で働き、コンポタからしか栄養を摂取できなくなっていた彼女が、よく寝て、よく食べるようになったのは、湊斗と出会ったからなのだから。恋に正解なんてものはないけれど、その人といることで、よく寝てよく食べれるようになるって、素敵だよなぁ……と思いました。紬も、想も、そして湊斗も、そんな相手と結ばれて欲しいです。

まだ中盤戦に差し掛かったばかりなのに、こんなにも私たちの心を奪っている『silent』。第5話からも、3人それぞれが選ぶ幸せを応援していきたいと思います。

 

前回記事「ヒットの条件揃いすぎの『エルピス』、私たちはドラマ史に残る名作の誕生に立ち会うのかもしれない」はこちら>>