自分を幸せにする方法は、何かに熱中すること
ーー大切な選択の積み重ねによって人生の色が決まるならば、緒川さんはこの先の人生にどんな色を足していきたいと思いますか。
自分の持ち味みたいなものって良くも悪くも変わらないものです。私の今持っている色のパレットがあるとすれば、それは物心ついた時から変わらないものばかりだと思うんです。自分でどれだけあがいても出てくるのは似たようなものなので、そこに何か、突拍子もないものが加わる、外から飛び込んでくる変わった色に、時には面白がって染まってみるのも面白いなって思います。
ーー女性は、年齢を重ねるにつれてどうしても自信をなくしがちだと思うんです。自信をなくすと、新しいものに手を伸ばすことはさらに怖くなる。緒川さんの言葉は、そんな女性たちにとって素晴らしいメッセージになると思います。
その感覚は私もすごく分かります。若い頃に戻りたいとは思わないにしても、やっぱり女性は年齢によって自信をなくしやすい生きものだとは感じますから。若くて生き生きしているって、そこにいるだけでその明るさで誰かを幸せにしますよね。そういう人を見ているだけで嬉しいって気持ちになります。自分を顧みると、そうした力は明らかに失なわれつつあって、その上で自信を持つのってすごく難しいことだとは思うんですが。
でも年齢に関係なく、ちょっと向こう見ずなくらい何かに熱中している人を見ると勇気をもらえるんですよね。ただ前向きに、熱中して何かに進む姿は、見ていて気持ちがいいですから。その人自身も幸せだろうし、まわりも幸せだろうし。ということは、きっと 「自分を幸せにする方法は、何かに熱中すること」なんだと思います。
そのためにも、自分が熱中する中で起こる出来事とか、熱中するために必要なことは基本的に受け入れたいです。そうすることでしか、自分を幸せにする方法はないんじゃないかと感じます。私も同世代の方と同じ悩みを持つ一人として、熱中できることを探していけたらと思います。
緒川たまき Tamaki Ogawa
映画「PU プ」で女優デビュー。TV、映画、舞台で活躍。 97年いのうえひでのり演出舞台『広島に原爆を落とす日』でゴールデンアロー賞・演劇新人賞受賞。最近の主な舞台出演に熊林弘高演出『パンドラの鐘』ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出『グッドバイ』『キネマと恋人』『修道女たち』『ベイジルタウンの女神』『砂の女』『世界は笑う』他、多くの話題作に出演。22 年『砂の女』で紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞最優秀女優賞受賞。
<公演情報>
KERA・MAP #010『しびれ雲』
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:井上芳雄 緒川たまき ともさかりえ 松尾 諭 安澤千草 菅原永二 清水葉月 富田望生 尾方宣久 森 準人 石住昭彦 三宅弘城 三上市朗 萩原聖人
【東京公演】
公演日:2022年11月6日(日)〜12月4日(日)
会場:下北沢 本多劇場
お問合せ:キューブ tel.03-5485-2252(平日12:00~17:00)
※11月6日(日)〜11日(金)の公演は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により中止となりました。詳細はキューブ公式サイトでご確認ください。
【兵庫公演】
公演日:2022年12月8日(木)〜11日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
お問い合わせ:芸術文化センターチケットオフィス tel.0798-68-0255 (10:00〜17:00/月曜休※祝日の場合は翌日)
【北九州公演】
公演日:2022年12月17日(土)、18日(日)
会場:北九州芸術劇場 中劇場
お問い合わせ:北九州芸術劇場 tel.093-562-2655(10:00〜18:00)
【新潟公演】
公演日:2022年12月24日(土)、25日(日)
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
お問い合わせ:りゅーとぴあチケット専用ダイヤル tel.025-224-5521(11:00〜19:00/休館日除く)
撮影/中垣美沙
構成・文/山崎 恵
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