昨年11月に99歳で亡くなった、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん。彼女が51歳で出家を選んだ背景には、妻子ある作家・井上光晴さんとの7年に及ぶ道ならぬ恋がありました。お互いにのめり込んでいくふたりと、その関係を承知しながらも静観する井上の妻。3人には他者には計り知れない、不思議な繋がりがあったのです。

 

ふたりの恋が始まった時、5歳だった井上光晴さんの長女はやがて父と同じ道を歩みます。そして、直木賞作家となったのが井上荒野さん。2019年には、3人をモデルに彼らの長きに渡る関係性や心情を描いた小説『あちらにいる鬼』を発表しました。

その物語がこのほど映画化され、11月11日に公開されます。瀬戸内寂聴さんをモデルにした女性作家・長内みはるを寺島しのぶさん、妻子がありながらみはるをはじめ何人もの女性と交際を続ける作家・白木篤郎を豊川悦司さん、篤郎の妻・笙子(しょうこ)を広末涼子さんが演じます。寺島しのぶさんが得度式の場面で実際に剃髪したことでも話題になった本作。ひとりの男性をめぐるふたりの女性を演じた、寺島しのぶさん、広末涼子さんにお話をお伺いしました。

 

寺島しのぶ
女優。1972年12月28日、京都市生まれ。父は歌舞伎役者・尾上菊五郎、母は女優・富司純子、弟は歌舞伎役者・尾上菊之助。舞台、映画やドラマに出演し、高い評価を得る。2010年に映画『キャタピラー』で主演を務め、『第60回ベルリン国際映画祭』の最優秀女優賞にあたる銀熊賞を受賞した。私生活では2007年にアートディレクターのローラン・グナシアと結婚、一児の母。

広末涼子
女優。1980年7月18日生まれ、高知県出身。O型。『第1回クレアラシル「ぴかぴかフェイスコンテスト」』でグランプリを獲得しデビュー。NTTドコモのCM出演で話題を集め、人気を博す。フジテレビ系ドラマ『ビーチボーイズ』、映画『鉄道員』『秘密』『おくりびと』など話題作に多数出演。最近公開の映画に『コンフィデンスマンJP 英雄編』『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』などがある。2023年前期のNHK連続テレビ小説『らんまん』に出演予定。