ーー同じインタビューで発言していた「ここ何年か個人的な楽しみや快楽を断っていた」というニュアンスとは、ちょっと違う境地に達しましたか?
そうなんです。今年の夏に、1ヵ月のお休みをいただいて、スリランカに3週間行ってきたんです。アーユルヴェーダのリトリート施設に滞在し、自分に合った施術を受けながら生活しました。『夜、鳥たちが啼く』で人の温かさに触れて、他者をシャットアウトしていた頑なな自分がちょっと解放されたんですけど、その後のこの旅で、一つ階段を上がれたなという感覚がありました。
ーーというと……?
欲するものがずいぶん少なくなりました。本当に必要なものだけがわかるようになってきたと思います。
ーーお仕事への欲求はどんな状態になりましたか?
穏やかに求めています。以前は休むという言葉が嫌でずっと走り続けていましたが、いったんストップしたことで得た恩恵の大きさを実感して、ちゃんと仕事をするためには休憩が必要だということがわかりました。シンプルに今元気なんです(笑)。今は目の前にある仕事を100%全力でやることが次に繋がるという考え方です。自分以上のことを自分に求めない。地道な仕事を本当に楽しくやっていれば、気づいたらこういう作品に出会えるんです。それが私にとっての幸せなことです。
松本まりか Marika Matsumoto
1984年生まれ、東京都出身。2000年に女優としてデビュー以降、モデル、声優、ナレーターなど多方面で活躍。2018年のドラマ『ホリデイラブ』での演技が「あざと可愛い」と話題になりブレイク。2022年はドラマにも出演した『妖怪シェアハウス』をはじめ、『極主夫道 ザ・シネマ』『耳をすませば』など出演映画6本が公開に。2023年のNHK大河ドラマ『どうする家康』にも出演予定。
<作品紹介>
『夜、鳥たちが啼く』
出演:⼭⽥裕貴、松本まりか
森優理斗、中村ゆりか、カトウシンスケ/藤田朋子/宇野祥平、吉田浩太、縄田カノン、加治将樹
監督:城定秀夫 脚本:⾼⽥亮
原作:佐藤泰志「夜、⿃たちが啼く」(所収「⼤きなハードルと⼩さなハードル」河出⽂庫刊)
製作・配給:クロックワークス
© 2022 クロックワークス
12月9日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
撮影/塚田亮平
スタイリング/中野ゆりか
ヘアメイク/桑野泰成(ilumini.)
取材・文/須永貴子
構成/山﨑 恵
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