年末年始のお休みに、ちょっと怖くてゾクゾク、続きが気になる小説を温かいお部屋で一気読みしませんか。講談社人事部のバタやんこと川端里恵が、2022年に刊行された最新作の中から激推しの5作品を紹介します!

 

こんにちは。お久しぶりに戻ってきました! バタやんこと川端です。Podcast「真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室」もリターンズとして配信再開いたしました。今日ご紹介するのは、“ちょい怖”小説。密室閉じ込められ系のハラハラサスペンスから、詐欺師、不倫、老害などドキッとする人間の闇まで、人気作家の最新作と注目の新星を織り交ぜて熱烈プレゼンいたします。

 

1.ラストの“どんでん返し”に思わず声が漏れる
『方舟』夕木春央

「ベスト帯オブザイヤー」と評したい。ミステリー好きがワクワクする名前が表裏ずらり。こんなにみんな絶賛しているミステリー、スルーするわけにはいかない! と思わせる見事な帯です。『方舟』夕木春央

毎年、年末になると各誌でベストブックやミステリー大賞が発表になります。今年の「週刊文春ミステリーベスト10」を始め、「2023本格ミステリ・ベスト10 国内ランキング」(原書房)、「このミステリーがすごい!」(宝島社)、「ミステリが読みたい!」(早川書房)、「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 2022 小説部門」などに軒並みランクインしたのが、夕木春央(ゆうきはるお)さんの『方舟(はこぶね)』です。

山奥にある不思議な地下建築を見つけ、もの珍しさに中に入った大学時代の友人ら9人がそこに閉じ込められてしまうというお話。

偶然居合わせた人々が1箇所に監禁状態になり、自分が助かるには誰かを犠牲にしなくてはならない、いわゆる“トロッコ問題”。よくある(よくないけど!)サスペンスのシチュエーションとしては古典的な設定でありながら、最後まで緊張感を保ち、こんなあっと驚く“どんでん返し”をラストに用意できるのがすごい。

人物描写がわりとあっさりしているのも、スマホ時代のホラー映画って感じで新鮮さもあり、私はとても好みでした。ネタバレを目にする前にぜひ!