SNSで物議。若者は「ホワイトすぎる会社は不安になる」?

マスコミが作り出す「若者像」は架空のキャラクターかもしれない。ホワイト企業を敬遠、風呂なし物件が人気…?_img0
 

昨年末、「職場がホワイトすぎて辞めたい 若手、成長できず失望」という日本経済新聞の記事(2022年12月15日付)が大きな話題、いや、大きな波紋を呼びました。同様の話題はテレビでも取り上げられ、「グッド!モーニング』(テレビ朝日系/2022年12月19日放送)では若手社員の4分の1が叱られた経験がないということにも言及されました。

 

これらの内容を聞くと反射的に、まるで若者はホワイトすぎると不安になる、ブラック企業の方が成長を感じられる、とも受け取れてしまいます(というか、タイトルでそう誘導してますよね? 明らかに……)。

しかし、実際はそういうことではありません。この内容、実は昨年末に注目を集めるかなり前に、日本経済新聞やグッド!モーニングの取材にも答えていたリクルートワークス研究所の古屋星斗さん(一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事)によって、しっかり分析された丁寧な一連の記事がすでに出ていました。

確かに昨年末報じられたものと同じ内容なのですが、考察をちゃんと読めば全く異なった印象を受けるので、ぜひそちらを一読することをおすすめします。「『ゆるい職場』は悪か?若手・上司に知ってほしい“キャリア不安”の解決策」(Business Insider Japan)によれば、

研究結果によると「職場での仕事の量の多い・少ない」は、成長実感にはあまり関係がありません。成長実感と関係があるのは、労働時間の多さなどの仕事の量ではなく、質です。

とあります。近年職場環境や労働条件が改善されているとはいえ、決して長時間労働をすれば成長を感じられるということではありません。って当たり前ですけど!!

さらに、同サイトの「若手の離職リスクを高める『いい上司ばかり」の職場。“何者かになりたい若者”が求める条件とは」によれば、人が働き続けるには「心理的安全性」と「キャリア安全性」が必要ということが書かれています。

心理的安全性と、気づかれざるファクターであるキャリア安全性とが組み合わさってはじめて、若手が本当に活躍する新しい職場に生まれ変わるのだ。

とあるように、「心理的安全性」と「キャリア安全性」の2つが担保されてこそ、若者が働き続けたいと思えると言及されています。つまり、ホワイトすぎるから辞めるのではなく、ホワイトなだけで、やりがいや将来性を感じられないから辞める、のです。

ホワイトである、なおかつやりがいや将来性を感じられることが重要、ということですね。ってそりゃそうだ。

ですから、まるで「ブラックだから成長できる」「ホワイトだと若者は辞めたがる」と取れるようなミスリードな見出しを付けるのは、かなり問題ありだと感じます。