【性教育プログラム その①】性にまつわる言葉は正式名称で話す
子どもはときに、突拍子もない発言をするものですが、身体についての話については特にそうです。幼児にはプライバシーの観念がない場合が多い上に、おしゃべりを聞いてくれる人には何でも話したがります。息子の幼稚園時代の友達(5歳男児)と祖母(70歳)の会話で、こんなおもしろいものがあります。
男児:「おばあちゃんには、パギナとペニス、どっちがついてるの?」
祖母:「え?」
男児:(大きな声で)「パギナとペニス、どっちがついてる?」
祖母:「ああ、ヴァギナだよ」
男児:「ぼくのは、ペニス」
祖母:「そうね」
男児:「大きくなるんだよ」
祖母:「そうね。大人になったらね」
男児:「ちがうよ、おばあちゃん。さわったら、大きくなるんだよ!」
このおばあちゃんの受け答えは、金メダル級の素晴らしさです。私が子どもの頃は、親が局部の正式名称を口にすることはまずありませんでした。「外陰部」という単語を知ったのは、高校生になってからだった気がします。
早い時期から正式名称を使うのは、賢明な方法です。赤ちゃんの頃から、「ペニス」「睾丸」「外陰部」「ヴァギナ」と教えましょう。その最大の理由は、局部の正式名称を知っている子は性的虐待を受ける確率が低く、虐待を受けたときにきちんと報告できると実証されているからです。
正式名称を使う理由は、性的虐待を防ぐためだけではありません。身体の一部について遠まわしな表現を使うと、子どもが「親と話し合うべきではない内容なのだ」と捉えるからです。「セックスや身体についての話はタブーだ」というメッセージを送ってしまうため、将来子どもが疑問や心配を感じたとき、親に正直に相談できなくなります。セックスや身体の話をしなければ、子どもがセックスや身体の問題に直面しなくなるわけではありません。情報源が親でなくなるだけです。ニュージャージー州にあるモントクレア州立大学の性教育学者エヴァ・ゴールドファーブ氏は、「セックスや性についての情報源は、世の中にいくらでもあります。最も影響力のある情報源は、親であるべきです」と言います。
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