昨年の夏は仕事一色でした。

特に7月とか8月の仕事のことは、あまり記憶がないくらい。最近当時のToDoリストを見返して、背筋がぞくっ。なんだこりゃ。

じゃがりこやチクワを食べながら帰ってました(笑)。

自分の余裕のなさが顕著に表れたのが、読書傾向です。どんなときでも本を読まない選択肢はない私ですが、手にとる本で精神状態が分かります。読書記録アプリを確認していて気づいたのは、フィクションを全然読めてないということ。

ビジネス書、人文書、エッセイ……。アプリの画面に並ぶのは、ノンフィクションの作品ばかり。どれも面白く勉強になる本ばかりでしたが、なんだか物足りないなと感じました。やっぱり、小説からしか吸収できない栄養ってある気がします。


それ以来、「読む本のバランス」を少し気にするようになりました。基本的にはその時読みたい本を読みますが、「あれ、最近エッセイばっかり」「お仕事小説を続けて読んでるな~」と、手に取る本のことを考えてみる。なんだかまるで、朝鏡に向かって肌や髪の調子を確認するような感じです。それで分かったのは、世界観がつくりこまれた小説を読むには心の余裕が必要みたいということ。(そう、ここまでクレイジーな本の虫であったとしても!)



最近、久しぶりに「物語の世界に没入する」という体験をしました。

 

第168回直木賞受賞、小川哲さんの『地図と拳』。候補作のうち、唯一発表前に読めたのがこちらでした。前回は候補作全作読めたのにな~。やっぱり余裕が少なくなっているんだわ。

全640ページ、鈍器のような重みのある本です。書店で購入しようと思いましたが、あまりの大きさに日和ってkindleにしました。しかししかし! 読み始めたら一気に読了!

満州の架空都市を舞台に、日露戦争前夜から第二次世界大戦に向かう経緯を追った歴史SF小説。日本から満州に送り込まれる密偵と通訳、ロシアの鉄道網拡大の為に派遣された神父、秘密結社の不死身男……。バックグラウンドの異なる人々が、それぞれの思惑を胸にひとつの都市に集まり、交錯し、知性と野生をぶつけあう。

読み終わって、「っふう……」と大きく息を吐いてしまいました。あ、今わたし別の世界に飛んでたなって気づく瞬間。こういう感覚久しぶりです。

どんなに面白い本を読んでいても、頭の片隅は冷めていて「このキャラクターは●さんに似てる」「この本、あのコラムで紹介したいな」みたいに考え事をしていることが常。そういう俗世のあれこれを大気圏外に吹き飛ばしてしまう、物語の重力が馬鹿強い一冊でした。小川さん、すごい人だ。


ノンフィクションも大好きですが、やっぱりフィクションっていいな。こういう読書経験をより多くしたいな。ちゃんと本に向き合える時間を持てるように頑張ろう!

 

週末はもろもろのご褒美においしいものを食べてきました♪

 

今週は三本、執筆記事が公開されています。よろしければ読んでもらえたら嬉しいです♪