デリケートゾーンは名前のとおり、女性の身体のパーツとしても心理的にもとてもセンシティブな場所。年齢を重ねると不調が現れやすいのに、ケアまではできていない方も多いのではないでしょうか。そこで「デリケートゾーンのケアは必要?」「デリケートゾーンも老化する?」といった疑問について、女性の不調に造詣が深く、「日本デリケートゾーンケア協会」代表理事も務める医師の住吉周子先生にお話を聞きました。

写真:Shutterstock


Q.デリケートゾーンのケアって必要でしょうか?

A.もちろん必要です! 何歳であっても女性にとって大切なケアです


デリケートゾーンの話をすることを「恥ずかしい」といったイメージを持たれる方がいるかもしれません。が、海外では日本よりもデリケートゾーンケアへの意識が高く、私の知る限り韓国では6〜7年以上前からデリケートゾーンのケア製品が普通にスーパーでも売っていました。デリケートゾーンは、生理、排泄、性交、出産……と、女性にとっては健康と生命の鍵を握る、もっとも大事な身体の部位なんです。特に、これから更年期を迎える、もしくは更年期世代にとっては生活の充実度を左右することにもなります。そういった意味でも、デリケートゾーンのケアは女性にとって大切で自然なことなんです。

Q.デリケートゾーンも老化するのでしょうか?

A.はい。潤いとハリ、膣の力が失われていきます


年齢を重ねると、女性ホルモンの働きが弱くなり、コラーゲンの分泌が低下します。そのため、肌の粘膜やうるおい、ハリがなくなっていきます。また、骨盤底筋という筋肉は加齢や出産などで、膣や尿道を縮める力が弱まっていきます。その結果、膣のゆるみや尿漏れが起きたり、大陰唇部分のふかふか感が減っていくことに。またデリケートゾーンのハリや潤いがなくなると、ショーツとの摩擦でかぶれたり、傷つきやすい状態になるなど、日常でのトラブルを招くことも。そのため、膣トレやデリケートゾーンの肌ケアをしてあげることが大切なんです。

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Q.デリケートゾーンのケアをするとどんないいことがありますか?

A.冷えがなくなり尿漏れやホルモンバランスの改善も!


デリケートゾーンのケアを続けると、まずは膣まわりに潤いやハリがでて、においやかゆみの原因が出にくくなります。また、血流がアップすることで身体全体が温かくなり、冷えが改善されてホルモンバランスもよくなるんです。


Q.デリケートゾーンのケア、まずは何から始めれば良いですか?

A.ショーツの見直しやフェムテック用の化粧品を取り入れてみて


まずは年齢を問わず、素材に配慮したショーツを身につけることや、生理用ナプキンの見直しから始めるといいでしょう。そしてデリケートゾーンを清潔に保つことは大切なのですが、強い刺激で洗うことは、Ph値が乱れるなどのデメリットもあるため、デリケートゾーン専用の洗浄剤を使うことをおすすめしています。また、フェムテック用の化粧品やオイルなどを使って、しっかり保湿をしてあげることも大切です。

ショーツについては、肌に優しい素材にこだわったもの、吸水がしっかりできるもの、また、冷え対策としてもお腹周りまであるしっかりした大きさのショーツが最適です。さらに、あまり締めつけが少ないものであるほうがいいですね。勝負下着や可愛い下着をつけたい女心もありますが、キメパンツは決める日だけに、がおすすめです。

特にミドル世代は尿漏れなどの心配があるので、吸水ショーツがおすすめです。日常使いとしてもいいですし、軽い生理中はそのままでも大丈夫。重い日はナプキンと一緒につかうことで安心感もつながります。特に春から夏にかけては、高温多湿な時期になるので、デリケートゾーンのムレ対策ができるものだといいですね。



Q.デリケートゾーンのケアで不調を改善できますか?

A.​骨盤底筋を鍛える&膣トレは、冷え性や生理痛、尿漏れの改善にもつながります


冷え性や生理痛、尿漏れといった不調は、骨盤底筋を鍛えたり、膣トレをすることで、不調が和らぐことがあります。骨盤底筋は、骨盤内の尾骨から恥骨の間をハンモックのように伸びている筋肉です。1つの筋肉を指すように思われがちですが、多くの筋肉で構成されており、これらの筋肉を「骨盤底筋群」と総称しています。この骨盤底筋が排尿のコントロールをしたり、骨盤内の臓器を正しい位置にキープしたりする役目があります。加齢などが原因で骨盤底筋はゆるんでいってしまうため、予防と対策としての膣ケアをおすすめしています。

自己流の膣トレだと、実は膣ではなく肛門をキュッと引き締めているだけ、ということもあります。まずは、膣の正確な位置を確かめることが大切です。膣の位置は書籍などでの情報だけでなく、膣ケア専用のエステティックサロンなどを利用するのもひとつの手です。正確な場所や筋肉を一度理解することで、正しくトレーニングすることができます。

骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れの予防&改善にも繋がります。また骨盤内の臓器が正しい位置に固定され、骨盤まわりの血流が良くなり、 血行が改善することで、冷え性緩和にも。また、指やセルフプレジャーアイテムなどを使って膣の筋肉を柔らかくすると、全身がすっと整えられるような感覚がありますよ。


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デリケートゾーンの膣まわりのケアは、皮膚の見た目の若返りやパートナーのためだけではなく、においやかゆみ、尿もれや生理痛の改善、子宮の正常な働きを取り戻すことにつながります。住吉先生のお話を参考に、積極的にデリケートゾーンをケアしてみてくださいね。

お話を聞いたのはこの方
婦人科医・住吉周子先生
美容皮膚科医、漢方内科医。日本デリケートゾーンケア協会代表理事長としても活躍し、女性特有のさまざまな問題の解決を目指し活動を行っています。
取材・文/國見香