亭主関白の夫、ほぼワンオペの育児家事、そして会社経営……多忙な結婚生活を「まるで奴隷主婦だった」と語る茜さん(仮名、現在37歳)は、その状況下にも関わらず、さらに事業拡大のため地元を離れ東京へ進出を決意。仕事をやめてしまった夫は一転して「専業主夫」となりますが、今度は育児ノイローゼに……。ついに離婚となった時、夫婦逆転ならではの問題が勃発しました。

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働かない「専業主夫」が育児ノイローゼに...離婚時、大金を請求されたシングルマザーの悲劇 _img0
 
取材者プロフィール
 茜さん(仮名)37歳
職業:会社経営
家族構成:3児の母、離婚歴あり
     
 

働くのを辞めた「専業主夫」が育児ノイローゼに……


家事も育児もワンオペでこなす中、エステサロンの経営に加え、さらに新規の会社設立を決意した茜さん。仕事のために家族で東京へ引っ越すことになりましたが、このとき夫の雅之さん(仮名)は働くことを辞めてしまいました。

「東京への移住は私の意思で、彼は車の整備工場の仕事を辞めて東京に来ることになりました。なので仕方がないと思いますが、彼は『仕事をする』『仕事を探す』という選択をせずに家にいました。

ただ、私も会社の立ち上げで本当に忙しい時期で、さらに三人目の長男も産まれたばかり。これもタイミングだと思い、ならばと『専業主夫』をお願いしました」

もともと亭主関白な気質だったと伺っていたので少し驚きますが、このとき雅之さんはすんなり専業主夫となることを受け入れたそう。

慣れ親しんだ地元や家業を離れた彼にとって、都会でまた一から社会生活を始めるより家庭にいる方が気楽だったのかもしれません。もちろん、仕事にできる限りの時間と労力を注ぎたい茜さんにとってもありがたい話でした。

ちなみに家計面では、結婚後もお金遣いの荒さは変わらず貯金はほぼなかった雅之さんに代わり、生活費などはすべて茜さんの出費になったそう。と言っても、うまくいっているエステサロンの収益は新しい会社設立の費用に充てていたので、茜さんの貯金を切り崩しての生活となりました。

「特に新商品を発売するまでは本当に忙しく、気づいたらオフィスで朝方になっていたり、パソコンの前で5分だけ眠るような日々が続きました。とにかく会社をなんとか形にするのに必死ですし、家族だけでなく従業員の生活もかかっているので責任も重大です。この頃はほとんど仕事のことしか考えていませんでした」

客観的に聞く限りでも、茜さん一家にとってこの期間は勝負どころだったのでしょう。一家の大黒柱となった妻が脇目も振らず仕事に専念する気持ちもわかりますし、乳児を含む三人兄弟を育てる夫も大変だったと思います。

けれどギリギリで保たれていたバランスは、夫によって崩れ始めました。

「彼が『育児ノイローゼになった』と言い始めて、だんだんと主婦業をしなくなってしまったんです」