作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた山本理沙。その赤裸々な声は、まさに「現実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の夫婦問題を浮き彫りにします。

近年、耳にするようになった「専業主夫」。今回取材をした茜さん(仮名)は美容系の会社を経営しており、夫が家事・育児に専念すべく専業主夫となりました。しかしながら、3人のお子さんを育てていた彼は育児ノイローゼに。だんだんと夫婦不仲に陥り離婚を決意しましたが、その問題点と実情を語っていただきました。

 
取材者プロフィール
 茜さん(仮名)37歳
職業:会社経営
家族構成:3児の母、離婚歴あり
     
 

「人の気持ちは変わる」とわかっていても、永遠の愛を信じたい


「結婚は、やはり総合的には良いものだと思っていますよ。夫とは愛が冷めて離婚することになりましたけど、また結婚したいです」

茜さんは朗らかな笑顔で語り始めました。ノーメイクに短い髪は無造作に結ばれており、トレーナーとジーンズという格好をしていますが、透明感のある白い肌や大きな瞳、華奢な体型がかえってラフな姿で際立っています。

数年前に離婚した彼女は1人で3人のお子さんを育て、また経営者として相当多忙な日々を送っているそうですが、にも関わらず、その表情は軽やかで生き生きとした印象。思わずそう口にすると、「今、子どもたちとの生活にとても満たされているから」と、嬉しそうに微笑みました。

「誰かを心から愛しているとき、この愛は永遠に続くと信じるじゃないですか。結婚式の誓いの言葉みたいなピュアな愛を、私は今も求めていると思います。夫のことも、当時はそんな風に愛していました。

でも、違った。だけど間違ったら間違ったで、それで良くないですか? また誰かに恋をして、生涯添い遂げたいと思うほど愛して、結婚するかもしれない。心のどこかで人の気持ちは変わるものとわかっていながら、永遠の愛を信じて夢中になって。それでも再び気持ちが変わってしまったら、長い人生、また本当の愛を探せばいいだけだと思うんです」

そう語る茜さんの口調もとても清らかで、不思議な説得力があります。

ちなみに最近、興味深いことを知りました。仲睦まじい夫婦を「おしどり夫婦」と揶揄しますが、その語源であるオシドリは、数年に一度パートナーを変えるらしいのです。結婚の定義とも言える永遠の愛とは、動物的に必ずしも“正解”ではないのでしょうか。

話が逸れてしまいましたが、茜さん夫婦が従来の男女の役割を逆転させ、夫が専業主夫となった経緯、その実情を教えていただきます。