カフェインとアルコール、「違い」をどう捉える?
編集:「アルコール中毒」だけではなく、「アルコール依存症」という言葉があるからかもしれません。
山田:そうですね。ただ、「中毒」と「依存症」は全く別のものです。繰り返しになりますが、「中毒」とは、ある物質を安全な摂取量を超え、危険な域値まで過剰摂取した結果、体に悪影響を及ぼす症状が出ている状態です。一方で「依存症」は、「特定の行動をやめたくてもやめられない」というような状況を指します。
編集:なるほど。ちなみに、カフェインにも依存症はあるのでしょうか?
山田:アルコールと違い、カフェインの依存症については、あまりわかっていません。ただ、「離脱症状」が起こることは、よく知られています。長期的・継続的にカフェインを摂取している方が、突然カフェインの摂取をやめると、頭痛や著しい疲労を感じたりすることがあるのです。この場合、少しずつ量を減らしていくことで、離脱を防ぐことができます。
編集:理解できました! カフェインもアルコールも、つい同じように考えていました。
山田:カフェインとアルコールの違いを、摂取のメリット・デメリットの視点で考えてみましょう。カフェインの場合、安全な摂取量の範囲内では、メリットの可能性があるものの、デメリットの可能性は小さいと考えられます。一方、アルコールやタバコの場合、少しでも摂取があった時点で、健康上のリスク、つまり、デメリットが発生してしまい、健康上のメリットはあまり知られていませんので、天秤がデメリットに傾きやすいと言えます。
編集:だから、アルコールやタバコはゼロにしましょう、という話がされやすいのですね。
山田:「健康」だけが人生ではありませんから、あとは個人の考え方、価値観によるものも大きいと思います。ただ、健康上のリスクと天秤にかけた場合、アルコールやタバコはカフェインと違って、「リスクに傾きやすい」と言えるのではないでしょうか。
編集:「中毒」と「依存症」の違い、「アルコール」と「カフェイン」の違いを、どう捉えたらよいか理解できました。これからも、カフェインと上手に付き合っていきたいと思います。本日もありがとうございました!
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構成/新里百合子
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