ハードな日常に追い打ちをかける「子育て無理ゲー社会」
友人に子どもが生まれてから家に招かれて定期的に遊びに行っています。赤ちゃんは本当に愛くるしく、この世のかわいいを詰め込んだような存在です。しかし、情けない話ですが、30分くらいで「こりゃ(子育ては)無理だ」と思いました。眠っているときは天使そのものですが、前触れなくギャン泣きしますし、あやしても全く効果なし。
3歳くらいの子どもを数時間預かったことも何度かありますが、楽しいより壮絶、もう無理かも、という思いが勝りました。慣れればまた違ってくるかもしれませんが、赤ちゃんだと言葉も通じないですし、ちょっと目を離したらどうにかなってしまうかもしれない、最悪死ぬ! そんな存在と向き合い続ける(しかも休みなし!)って、こんな過酷なことがあるのか、と衝撃でした。
しかも毎日1時間は寝かしつけが必要で(そしてなかなか寝てくれない)、夜泣きする度にあやして、さらに早朝5時とかに起こされる。さらに子どもって本当によく熱を出します。保育園で胃腸炎やインフルエンザ、RSウイルス、手足口病、コロナなどが次々と流行り、その度に会社を休み看病、そして親にもうつって一家で療養、なんてもはや珍しくもない日常。正直育児って、どんな仕事よりハードなのでは、と思います。
そんな超絶ハードモード、生きているだけで奇跡な状態なのに、やっと外出しても、周囲に過剰に気を遣い続けなければなりません。そんな現実を見れば見るほど、「子育て無理ゲー社会」という認識は強まるばかり。そら少子化になるわ、と思います(もちろん他にも少子化の要因はあげればキリがないほどありますが)。
巨大な波紋を呼んだ「育児中のリスキリング」
先日、岸田首相の育児中のリスキリング(学び直し)後押し発言が巨大な波紋を呼びました。子育て当事者ではない筆者も本当に耳を疑いました。
批判を受け、岸田首相は「あらゆる(ライフ)ステージにおいて、本人が希望したならば、リスキリングに取り組める環境整備を強化していくことが重要だという趣旨で申し上げた」と釈明しましたが、時期に関係なく国民のリスキリングを後押しすることが本来言いたいことだったのだとしたら、人生で最も忙しく、過酷な時期の一つである育休中は、一番例に出してはいけなかったのではないでしょうか。よりにもよって、育休中かよ! そりゃ非難囂々(ひなんごうごう)にもなるってもんです。
たとえ育児を経験していなくても(岸田首相は「私自身も3人の子どもの親だ」と発言しましたが、首相の妻がインタビューでワンオペだったと答えています)、当事者の声を聞けば、多少なりとも実状はわかるはず(「子連れマナー警察」の人たちの中にも、子育て経験者はいるはずなんですけどね……)。
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