「マナーは最上のドレス」。美しいドレスを着た人は、本人だけでなく見る人の心も心地よくさせます。そんなドレスのように、周囲を安心させたり笑顔にできる、気づかいのある一言を使いこなせる人になってみませんか? ハイブランドの元販売員で「大人エレガンス」を実践する横田真由子さんの著書『大人女子の小さなマナー帖~一流のお客様に学んだ気づかい』から、愛されるVIPのお客様が使っていた「相手への気づかいを感じさせる言葉」をご紹介。横田さんの販売員時代のエピソードと共にお送りします。

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「今から伺ってもいいですか?」相手の時間を大切にする言葉


「今から、伺ってもいいかしら?」「休憩時間と重ならないかしら?」、素敵なお客様は、ご来店の際、このように電話をくださいました。そして、必ず時間厳守でした。

さらに、買い物をされる際、店頭でも無駄に長居をすることはありませんでした。自分に似合うものを知っているから、長々と迷うこともありませんし、混み合っている店内で、自分の買い物だけに私達販売員の時間を長時間独占することは申し訳ないとおっしゃいました。長く滞在するときは、それなりの金額の買い物をしてくださいます。

 

時間は財産なので、自分と相手の時間を活かし、効率も考えた行動が身についているのだと思います。私達は、つい、相手の時間をもらっていることを忘れがちです。

時間は両手の指の間からこぼれる大切な砂のようなものですから、せっかくなら、その砂の一粒一粒が「キラキラと輝くように感じる」と、思ってもらえる時間にしたい。

私は、食事会なども、できるだけ2時間で切り上げるようにしています。2時間以上は、同じ話題の堂々巡りになることが多いと聞いたことがあるからです。いつまでもダラダラといて、何となく尻すぼみになって解散するより、名残り惜しくても2時間で切り上げたほうが、「楽しかった。また会いたい」と、思ってもらえるのではないでしょうか。


言いにくいことも柔らかく伝える「クッション言葉」


私が出会った断り上手なお客様は、「あいにく」という言葉をよく使われました。
そして、「こうしてほしい」と言いにくいことを依頼するときは、「お手数ですが」という言葉を使われました。「お手数をおかけしてすみません」という気持ちが伝わるクッション言葉です。

また、「よろしければ」という言葉も、頼みごとをする場合、とても柔らかく聞こえます。そんなお客様の影響でしょうか。私達、販売スタッフ同士も、職場ではどんなに仲良くなっても、「お手数だけど」「よかったら」という言葉を使うようになりました。その結果、お互い助け合いながら、気持ちよく仕事ができたと思っています。