メンタルの問題をメンタルで解決するのは無理
メンタルが弱くすぐに落ち込んでしまう人の中には、常に「精神的に強くなりたい」と思っていて、そうなるたびに「気持ちを切りかえて、頑張ろう!」と思ったり、「こんな弱気じゃダメだ!」と自分をふるい立たせたりしている人も多いはずです。
しかし、メンタルの問題をメンタルで解決しようとしても、なかなかうまくいきません。なぜなら悩んだり落ち込んだりした時点で、すでに自律神経が乱れているわけですから、そんな状態でメンタルを強くもとうと言っても無理な話なのです。そこで実践してほしいのが、「心の落ち込みを体でカバーする」という方法です。
心と体はつながっている!運動でメンタルをカバー
心と体は密接につながっています。緊張すると(=心)おなかが痛くなったり(=体)、大声で笑うと(=体)すっきりしたり(=心)、みなさんも日々実感していると思います。私たちの心と体は自律神経を介してつながっており、緊張をすれば自律神経が乱れて心が不調になりますし、逆に、マッサージをしたりおふろに入ったりして血行をよくすれば、心もリラックスできるわけです。ですからメンタルの問題を解決したいと思ったら、心がラクになれるような行動をとればいいわけです。
たとえば、仕事でミスをして落ち込んだときには席を離れ、階段の上り下りを疲れない程度に繰り返してみましょう。1〜2階分でかまいません。だれもいない屋上や廊下などでスキップするのも効果的です。
運動をすることで血行がよくなり、さらにリズミカルな動きで副交感神経が高まり、自然と「気にすることない、次はミスをしないようにしよう」と、前向きな気持ちになることができます。
著者プロフィール
小林弘幸(こばやし ひろゆき)さん:
順天堂大学大学院医学研究科・医学部教授。1960年生まれ。1987年順天堂大学医学部卒業。1992年に同大学大学院医学研究科修了後、ロンドン大学付属英国王小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、2003年に順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。2006年、同大医学部病院管理学研究室教授に就任、総合診療科研究室教授を併任している。専門は小児外科学、肝胆道疾患、便秘、Hirschsprung's病、泌尿生殖器疾患、外科免疫学。日本スポーツ協会公認スポーツドクターでもある。国内で初の便秘外来を開設した腸のスペシャリストであり、腸内環境を整える食材の紹介や、腸内環境を整えるストレッチの考案など、様々な形で健康な心と体の作り方を提案している。また同時に自律神経研究の第一人者として、スポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』、『医者が考案した「ラクやせみそ汁」』(ともにアスコム刊)などのベストセラー著書のほか、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)や『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS テレビ)などメディア出演多数。
『上機嫌の習慣』
著者:小林弘幸 主婦の友社 1430円(税込)
自律神経が心身に及ぼす影響を長年研究してきた著者が、自律神経を乱す原因となる「ストレス」を減らすための72の習慣を伝授します。「朝、食事前に一杯の水を飲む」「机の引き出しを片付ける」「階段を使う」など手軽なものばかりで、即座に実践できるのが魅力。ちょっとした工夫で、「上機嫌」な状態を維持できるようになるでしょう。
構成/さくま健太
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